杉並区議会議員(無所属)堀部やすし最前線



<今月の視点>
 日本を歪める「一票の格差」 今回の選挙は有効なのか(1)

 これを書いている今日は、参院選の投開票日である。開票速報をみながら、この文章を書いている。

 これまでと比べると、年金改革をはじめ、今回の参院選は争点がわかりやすかった。投票率が下がらなかった(東京ではむしろ上昇した)のも、それと無関係ではなかっただろう。

国会議事堂  法改正や改革の遅れは、各界各層に深い影響を与えているが、年金問題はその典型だった。この問題は、世代を問わず全国民に直接的に影響が発生するテーマであり、関心が高くなるのも当然だったと言える。

 ここ最近の国政選挙が、漠然とした「新党ブーム」「小泉人気」「新人タレント候補の乱立」といったムードだけの選挙が多かったことを考えると、今回は様変わりした感がある。

 しかし、実際には連立与党全体の議席がほとんど変わらなかった(連立与党は安定多数を維持している)こともあって、私には変化の予感がしない。

 おそらく年金改革法はすぐには見直されないであろうし、短期的な政局はともかく、国会の今後の行く末にも疑問が拭えないままだ。

 民主党は「次期衆院選で政権交代」と言っているそうだが、こんな状態で与党は解散するわけがないだろう。ちなみに、現在の衆議院の任期満了日は、3年以上も先である。この状態が3年以上も変わらないということは・・・


   最高裁による異例の「警告」


 もっとも、そんな政局ばかりに注目しているわけにも行かない。実は、今回の選挙は、非常に重大な問題をはらんでいて、ひょっとすると、今度こそ選挙が違憲(または違憲無効)になってしまう可能性があることを指摘しておきたい。

 「一票の格差」の問題が、それである。

 今年1月の最高裁判決は、そのことを実感させるキワドイ内容だったのだが、この話題はテレビや新聞の選挙報道では、ほとんど話題になっていなかった。せいぜい経済同友会が話題にしていた程度である。

 最高裁は、かなり踏み込んだ意見を示していた。しかも、それは国会に対し、異例の警告をしたといっても差し支えない内容だった。そうであるにもかかわらず、国会は何ら制度改正をせず、今回の参院選を実施してしまったのである。

 日本は、一人の独裁者に権力が集中しているような国ではなく、権力分立(三権分立)の国である。内閣や国会といっても、何でも自由に権力を行使できるわけではなく、裁判所の判断は、相応に尊重しなければならないはずなのだが、今回はあからさまに最高裁の意向を無視してしまったのである。

 最近、マスコミだけでなく、公的機関もまた、表向きには「差別」問題に敏感である(かのようである)。差別用語や放送禁止用語は増える一方だ(どうやら今度は「痴呆」という言葉も使えなくなるらしい)。

 しかし、マスコミも、政治も、行政も、「一票の格差」という古くて新しい地域差別には、ほとんど無頓着のままである。いったいどう説明するのだろうか。



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1.最高裁による異例の「警告」【このページ】
2.鳥取県民1人=東京都民5人
3.人口比5倍を超える格差を正当化できるか
4.偏向した議席配分が失政を産む
5.「需要」に見合った公共投資を進めるために


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