杉並区議会議員(無所属) 堀部やすし最前線2000 12月4 No.80

グラフでわかる 杉並区の財政のいま。

 この数年で、区財政は著しく硬直化。もはや財政再建は待ったなしの最優先課題になっています。

 ところが、この危機感が共有されていないのか、いまだに無責任に財政の現状維持や拡大を主張する人たちがいます。しかし、これ以上、現役世代のエゴで、無責任に子どもや孫の世代にツケを残すべきではありません

 そこで、今回は、「杉並区の財政のいま」というテーマで、区の厳しい現状をみていきましょう。いつもはテキスト文書が中心ですが、今回は、グラフ中心で構成。画像は重くありませんので、ご安心ください(笑)。


【1】区の借金は? 
区債残高は、この10年で 3倍以上に!

平成元(1989)年度・決算 平成11(1999)年度・決算



 区税収入は、8年前の3/4に(▲25% 【2】参照↓)。その一方で、区の借金にあたる区債残高が、10年前の約3倍になっているわけです。ちなみに、区の預貯金にあたる基金残高は、10年前の約1/3になっています(基金残高は88億円)。
 
 このような状態では、財政再建の優先は、いうまでもないことでしょう。これまでも、このホームページで詳しく報告してきたところですが、私は、財政再建を最優先すべきという立場から、昨年度来、区の予算編成に反対しています。


【2】区の税収は? 
区税収入は、この8年で ▲25%に!

平成4(1992)年度・決算 平成11(1999)年度・決算



【3】急増した福祉費
扶助費は、この10年で 約2倍に!
平成元(1989)年度・決算 平成11(1999)年度・決算



 福祉費のなかでも、とくに扶助費は、毎年確実に増加し、10年前の約2倍に達しています。昨年度も当初予算だけでは足りず、予備費を充当して、なんとか帳尻を合わせました。

 なお、平成12(2000)年4月から介護保険制度がスタートしましたので、老人福祉費は今後若干減少しますが、その代わり、新たに介護保険会計に対して、区の一般会計からの「繰出金」が発生。増加傾向に変化はありません。


【4】区の自由裁量で使える部分は、わずか4%
 経常収支比率 95.8%の恐るべき実態。人件費比率も3割超へ!
平成元(1989)年度・決算 平成11(1999)年度・決算

 行財政の健全性を表す指標として、「経常収支比率」があります。

 これは、人件費・物件費といった経常経費が、一般財源の中でどの程度消費されているかを表す指標。財政運営の健全性を表す指標で、数字が小さいほど、自由に使うことのできる財源が多くなります(=新規事業を行う余裕ができるというわけです)。

 経常収支比率は、一般に70〜80%が適正水準 (=これを超えると、資金繰りが苦しくなる)。100%を超えると、いわば自転車操業状態になりますが、区の財政状況は、その一歩手間の95.8%にも達しているのです。

 このほか、歳入に占める区税収入の割合は、約42% (→1990年度は、約55%)。歳出に占める人件費比率も30%を超えています。区の財政状態は、病気にたとえると「重体」(監査委員の公式見解)であり、このまま放置すれば、危篤状態に陥ってしまうのです。

 すでに、これまでのようにナショナル・ミニマムを保障するあり方は変化しています。地方分権が進む中で、今後、住む場所による行政水準の差がますます顕然化することでしょう。国や都の財政状態が、さらに悪いことを考えれば、いつまでも国や都をあてにすることはできないのです。

 そろそろ区にも外科手術が必要。すでに指摘しているように、膨大な赤字を出している保養所などをいつまでも維持している場合ではありません(現在、区は区外に8ヶ所の保養所や校外宿泊施設の類を保有しています(=その実態は、こちらなどへ)。勇気をもって、大胆な歳出削減を実行すると同時に、区有財産の売却・有効活用等を進め、早急に財務体質の改善を進めるべきです。(もっとも、国や都とは異なり、活用できる資産価値には限界がありますが・・・)

 このような状況で、無責任に財政拡大を主張するなど言語道断。堀部やすしは、今後も、財政再建の優先を主張するとともに、これからも厳しい目を光らせていきます。



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