杉並区議会議員(無所属)堀部やすし最前線



東京都の懐に入る「23区側の税」
(1)東京都内の歪な財政構造を考える
杉並区は、すでに基礎的自治体なのだが

 平成12年4月、杉並区を含む東京23区は、明確に「基礎的自治体」に位置付けられました(改正地方自治法)。

 それまでの杉並区は、いわば東京都の内部団体であったわけですが、法改正によって、基本的には杉並区も他の市と同等の立場・権限を有するようになったのです。

 これによって、住民に身近な行政は、第一義的に杉並区(23区側)が担い、東京都は、大都市の一体性を確保する上で必要な事務のみを担うことになりました。

 ところが、これに反する動きが出ています。

 法改正によって、杉並区は、いわば広域団体である都に優先して身近な行政を担うことが明確化されたわけであり、これは都も認めざるを得ないはずなのです。しかし、東京都はなかなか権限(利権)を手放そうとしないのです。


東京都の税収の4割は区税。約1兆円のぼったくり?


 たとえば、固定資産税、市町村民税法人分、都市計画税、事業所税は、地方税法等の規定によって、市町村が徴収し、市町村で使用する税目になっています(市町村税)。

 ところが、東京23区では、そうはなっていないのです。これらは明確に区税でありながら、いったん全て東京都の懐に入ってしまっているのです。

 現在、市町村税であるにもかかわらず、東京都の歳入となっているもの(具体的には固定資産税、区民税法人分、都市計画税、事業所税)は、年額約1兆8,000億円にものぼっています。

 なんと、これは東京都都の税収の4割を超える金額なのです。

 このうち、23区に実際に配分されている金額は概ね8,000億円程度にとどまっており、残る約1兆円は毎年東京都に残されたままとなっています。こんなバカな話はありません。


消防・水道経費だけで1兆円は必要ない


 たしかに、23区では、本来、市町村が行うべき仕事である上下水道と消防が、東京都の仕事になっている現状があります。しかし、それが1兆円もかかる事業でないことは、一目瞭然です。

 第一に、杉並区を含む23区側全体の財政規模(一般会計)は、2兆7〜8,000億円ですが、一方で東京都の消防予算は三多摩地域分を含め2,300〜2,400億円に過ぎません。第二に、上下水道に至っては基本的に独立した公営企業会計です(基本的に税金ではなく、水道料金で運営されています)。

 したがって、誰が考えても、23区の消防や上下水道の経費だけで1兆円もの経費が必要なはずがないわけです。

 その結果、東京都は、その他のチマチマした事業を含め、全部で232もの事業が「大都市事務」である(東京都が行うべき仕事である)と、改正法の趣旨に反した説明を繰り返しています。


見直し約束の期限は近づいている


 本来は、法改正された時に同時に、東京都が代行徴収している一部市町村税についても、使途や配分の抜本的な見直しが不可欠でした。

 しかし、残念ながら、平成12年度改正においては、それが曖昧にされたまま、東京都側の都合に基づいて暫定的な財政調整が行われるに止まり、そのまま今日に至っています。

 それから、もう5年です。ちなみに、当時の約束では、平成18年度に抜本的な見直しをすることになっていましたが、どうやら東京都にその気はないようです。


東京都は都税収入の範囲で仕事をすべき


 いうまでもなく市町村税(ここでは固定資産税、区民税法人分、都市計画税、事業所税等を指す)は、原則的には基礎的自治体側の財源です。

 にもかかわらず、東京都が区に代わって行っている市町村事務等に必要な経費だけが都側に留保されるのではなく、それを超える部分についてまで、東京都に残され、使われる言われは本来ない、というべきです。

 困った東京都は、法的にも府県事務であることが明確な児童相談所や生活保護費の都道府県負担分、さらには東京湾の建設管理、都立高校や大学運営費・・・・果てには東京国際フォーラムをはじめ、東京都が勝手気ままに、豪華絢爛に建設した各種建築物の維持費についてまでも、区の財源で一部負担すべきものだと主張してきています。

 このようなものは基本的に法定外のもので、到底受け入れられるものではありません。滅茶苦茶な理屈なのです。

 東京都が自前の財源で何をやろうと、都議会のお墨付きを得る限り自由かもしれません。しかし、【1】なぜ、そのようなものに市町村税(区税)が充当されなければならないのか? 【2】たとえば、区としての立場で、際限のない臨海副都心開発や東京国際フォーラムの建設をいつ頼んだというのか? 【3】もっといえば、市町村税(区税)をその費用に充てることに、いつ誰が同意したというのか・・・?

 ちゃんと法律に則って自前の財源でやってくださいよ・・・と言うしかないような、合点のいかない話ばかりなのです。

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