杉並区議会議員(無所属) 堀部やすし最前線 2001年12月〜
検証!「レジ袋税」条例(3) | |||||||
3.課税の根拠を考える ●環境コストと「レジ袋」削減効果 ●課税の根拠は? レジ袋削減によるゴミ削減効果は?(未完) |
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※全6回シリーズの第3回。審議を受けて随時内容を更新します。 なお、総目次は、こちらへ |
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区は、「レジ袋」に注目した理由として、次のような理由を挙げています。
山田区長も、昨年の広報(2000年・平成12年10月1日号)のコラム(区長のいいメール)のなかで、次のように主張しています。
区の指摘は、その通りであり、もちろんムダな使用を抑制すべきは言うまでもありません。 私は、これを明確にするためにも、税額の根拠・正当性をハッキリさせることが必要であると主張してきました。
これに対して、区は、次のように回答していました。
これをみてもわかるように、区が提示した「一袋5円」という税額は、「だいたいこの程度なら使用が抑制されるだろう」と期待している程度のものであって、そこには何ら削減効果を裏づけるデータがないことがわかります。 「なぜ5円なのか」という素朴な疑問は、しばしば聞かれる意見ですが、重税感のない範囲で決められたもので、あまり根拠のある数字ではありませんでした。というより、区は、ゴミ処理費用の削減効果について、ほとんど何も検討してこなかったのです。以下、それを確認していきましょう。
区は、条例案をまとめるにあたり、専門家や利害関係者等を招き、「レジ袋税調査会議」を開催しています。 その「レジ袋税調査会議」が、平成13年(2001年)に出した最終報告では、レジ袋税を導入するにあたって「一層詳細な調査」「一層精緻な情報」が必要との見解が示されていました。しかし、区は、ほとんどまともな調査を行うこともなく、条例案をまとめてしまいました。 実際の議会審議の中で、驚くべきことが発覚しました。区がこれまで示してきた基礎的なデータ(レジ袋税を導入することで、削減できるゴミ収集コスト・削減効果)が、まったく滅茶苦茶なデータだったのです。 それどころか、これを問題視した私の追及に対し、区はまったく答えにもならない答弁を返してきました(後述)。 その結果、わかったことは、(1)区が以前より示していたデータは誇大表現だったこと、そして、(2)それをもとに説明していたコスト削減効果も、あまりに誇大だったということでした(→詳しくは、データ検証編へ)。
しばらくデータを逆算することなく、区の説明を鵜呑みにしていた調査会議の専門家も、議会も、このことに気がつかないまま条文審議の日を迎えることとなりました。 データ検証編で順次詳しく解説をしていますが、区の示していたデータを逆算してみると・・・レジ袋は1枚平均10グラムの重量があることになっています。 しかし、今回、審議前に個人的にありとあらゆるレジ袋を収集し、調査をしてみたところ、一般に消費されているレジ袋で、10グラムを超えるものは、ほとんどありませんでした。 具体的に示すと、10グラムを超えるレジ袋は、クリーニング店でもらう袋やok(スーパー)で使われているものなど、ごく一部であり、消費の7割以上を占めるコンビニやスーパーで配付しているレジ袋の大半は、10グラム以下の重量だったのです。 みなさんも、ぜひ調べてみてください。一般区民が日常的に使用しているレジ袋の総平均重量が10グラムもないことは、よくご理解いただけると思います。 このように、区が示してきたデータ(1枚あたりのレジ袋の平均重量が約10グラム)は、誇大表現もよいところであり、このままでは、まったく説得力のないものでした。 そこで、私は、あまりに不思議なこの問題について、議会で追及したところ・・・答弁に窮した区は「最近のレジ袋は軽くなってきた」という答弁を返すのが精一杯でした。 しかし、このデータは、つい最近の記者発表でも使われている数値です(区長記者会見資料の実物をご覧ください→データ検証編へ)。いくらなんでも、わずか一週間や10日程度で急にレジ袋が軽くなったとでもいうのでしょうか。 重量が軽くなってきたのなら、軽くなったという新しいデータ(試算)に基づいて試算し、説明するべきなのであって、それを意図的に避けてきたのは、情報操作というものです。 これでは、あえて過大な数値を使うことで、ゴミ削減効果を過大に表現してきたのではないか・・・と勘ぐりたくもなります。商連に莫大な補助金を出すことを正当化しようという区の作為を感じざるを得ないのです。
このような虚偽の数値に基づいた説明はフェアなものではありません。 いくら私がレジ袋税に賛成とはいっても、虚偽の数値で議会を騙し討ちするなど、許せるものではありません。 ましてや、それが商連に莫大な補助金を出すことを正当化するために巧妙につくられた虚偽のデータであるとしたら、ますます許せません。 レジ袋税条例を可決するには、商連に新規補助金をつけることが正しいことなのかどうか、また、区の目標であるレジ袋の6割削減によって、本当に1000トンものゴミを削減できるのかどうか・・・これらをきちんと整理しておかなければなりません。 なお、私は、その削減効果がなかったとしても、後にふれる重大な理由から、レジ袋税を導入すべきとは思います。しかし、だからといって、削減効果(見積)をいい加減にしたままにしておいて良いものではないと確信しています。 というのも、区は、レジ袋税のスタートを延期する一方、先に1億円近くの補助金をつけてポイントシール制度を導入するなど商店街対策の補助金をばらまくと言っているのです。それに1億円もかけることが正しいのか、正しくないのか、これはきちんとしたデータに基づいて判断しなければなりません(→論点4へ)。 その1億円を何に使ったら最も効果があるのか(レジ袋対策に使うべきか、商店対策に使うべきか、他のリサイクル対策に使うべきか・・・どれが最も高い効果をあげられるのか)、その「費用対効果」を事前に判断するためにも、調査や審議をいい加減にすることはできないのです。
このため、区には再調査を要求しています(これが継続審査とした最大の理由です)。 このため、区は、今になって慌てて再調査するハメになっていますが・・・それでも区の提示したデータは、心もとない点がたくさんあります。この点は、審議の経過に合わせ、追ってこのページに追加する形で詳報していきます。 商連対策も大事かもしれませんが、これは「環境対策の税」であると説明している以上、あくまで今後のゴミ削減対策・リサイクル対策(資源再利用対策)を中心に議論を進める必要があると考えます。 |
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