杉並区長選挙を契機に考えたい「杉並区政の課題2018」/杉並区議会議員(無所属)堀部やすし
1)【教育】新しい学習指導要領への対応
  • 新たに「教科」となる小学校英語
  • 山田宏区長時代に採用した区費教員(正規教員)の減少
  • かつてのように「区独自教員」の確保を検討することが必要
 新たに「教科」となる小学校英語


 新しい学習指導要領の完全実施(全面実施)が迫ってきました。小学校が2020年、中学校が2021年、高校が2022年です。

 さまざま変化がありますが、最大の変化は「小学校英語」が5年生・6年生で正式な「教科」になるとともに、3年生・4年生においても、授業時間数が従来の3.5倍に増える点です。

 「小学校教員の指導力が十分に育っていない中では、かえって英語嫌いが増えてしまうのではないか」「教科になると成績がつけられることから楽しく学べなくなるのではないか」など課題があります。


新しい学習指導要領の全面実施により大幅に増加する英語の授業
新しい学習指導要領の全面実施により大幅に増加する英語の授業

 過去の東京都の小学校教員採用において、英語は必ずしも重視されていませんでした。

 東京都教育委員会の小学校教員採用において英語コース(英語の専門性の高い小学校教員の採用枠)が設けられたのは最近で、その数はまだごくわずかです。

 英語コースで採用された東京都採用教員を小学校全校に設置することは現時点で不可能であり、基本的には現在の教員が英語教育を担うことになります。

 杉並区教育委員会は「小学校教諭に英語の教員免許取得を促している」と述べていますが、多忙を極める現在の小学校教諭にそれを期待するのは酷というものです。

 そこで、担任と協働する専門人材(指導助手)の配置拡大が課題となっているわけですが、人口減少時代を迎え、人材獲得競争はいずこも激しくなっているのが現実です。

 新たに「教科」となり、授業時間数も大幅に増えることを考えると、今までと同じというわけにはいきません。

 そこで、杉並区教育委員会は、小中英語教育について早稲田大学と協定を結び、実践的な連携・協働を行うことを発表しました。eラーニングをはじめとした教員研修なども予定されています(区教育委員会の折井麻美子委員は、早大教育・総合科学学術院の英語学教授)。

 しかし、教員(都採用)の人事権は、基本的に都の権限であることから、他区への異動もあり、その実質を区において長期的に担保することは容易ではありません。
 山田宏区長時代に採用した区費教員(正規教員)の減少


 杉並区は、かつて約120名の区費教員(区独自教員/正規教員)を杉並区独自に採用していました。山田宏区長時代のことです。

 この春、東京都全体で話題になった教員不足(4月時点での担任不在など)を発生させた学校が、杉並の場合1校で済んだのは、この区独自教員の存在が大きく、いまや貴重な杉並の教育資源です。

 しかし、この区費採用の正規教員は、どんどん減っています(現在79名)。

 杉並区は、区独自教員の採用により、他に先駆けて「30人程度学級」や「理科専科制」など教育環境を向上させる取り組みを行ってきただけに、その持続可能性を踏まえつつ、新たに「教科」となる英語についても対応を考えていかなければなりません。

 前区長時代のように区費教員を採用するなど、英語教育を本格的に担うことのできる教員を独自に確保する方策の検討が必要です。

 もちろん、これは人件費の増大要因となることから、教育委員会単独で結論を出せるような問題ではなく、杉並区総合計画(10年プラン)実行計画(3年プログラム)などの改定に合わせて区全体で総合的に検討することが必要になります。
 かつてのように「区独自教員」確保の検討が必要


 この春、東京都全体で発生した教員不足は、教員採用辞退者が相次いだことが原因です。

 人口減少時代の中での人材獲得競争は、杉並区といえども他人事ではありません。先行きを考えると、どのような形であれ人材を確保していく計画が必要でしょう。

 山田区長時代に採用した区費教員が大きく減少している事実を踏まえ、少数であっても区採用を計画化する必要があると考えています。

 小学校5年生6年生の英語が「教科」となり、3年生4年生を含め、英語の授業時間数が大幅に増えるのは、2020年に迫っています。

杉並区長選挙を契機に考えたい「杉並区政の課題2018」

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