杉並区議会議員(無所属)堀部やすし最前線



<5>安全美化条例の改正
「行政代執行制度」を「安全美化条例」の中に明確に盛り込むことを検討中
2004年8月
 杉並区には、生活安全及び環境美化に関する条例(以下、安全美化条例と表記)が制定されており、「安全で美しい杉並区」の実現をめざしています。

 この安全美化条例は、「歩きたばこ」「落書き」「犬のふんの放置」「ポイ捨て行為」に罰則を定めたことで、大きな話題になりました。

 しかし、罰則が盛り込まれた分野については相応の効果を上げてきましたが、そうではない分野は手つかずのままです。


 たとえば、安全美化条例には、「区内の土地又は建築物の所有者又は管理者は、当該土地又は建築物を不良な状態にしないよう、適正に管理しなければならない」と定められていますが、必ずしも十分な効果を上げていません。

 ここで問題になっているのは、「空き地」や「空き家」の存在です。

 杉並区では、空き地等で「雑草が茂っていて害虫が発生している」「枯れ草がたまって火災のおそれがある」など、管理に問題があることがわかった場合、所有者に対して適正に管理するようお願いしています。しかし、残念ながら、協力いただけないケースも少なくないことが議会にも報告されています。

 このような場合、安全美化条例によって、(1)所有地(あき地やあき家など)を適正に管理していない者に対し、区が独自に改善命令を出すことができるとともに、(2)命令に従わない所有者の氏名等を公表することが可能になっています。

 しかし、この命令には、何ら法的強制力がありません。

 また、所有者が区外の居住者である場合には、かりに区の媒体で氏名等を公表したとしても、あまり効果をあげることができません。これらが問題となっています。

 長きにわたって、このような膠着状態を放置してしまえば、近隣住民の生活環境は悪くなるばかりであり、防犯上も好ましくありません。 そこで、こうした問題について、杉並区が直接的に改善策を講じることができるように、行政代執行制度を安全美化条例の中に明確に盛り込むことが検討されているわけです。

 具体的には、【1】安全美化条例を改正し、行政代執行を制度化(改善命令に従わない場合に杉並区が代執行し、所有者から費用を徴収できるよう規定を整備しておく)、【2】区への委託制度を創設(所有者に改善の意思はあるが、自ら改善できないとき、杉並区に改善を委託できる制度を創設。その費用は所有者から徴収する)、などが検討されています。


 権利があれば、義務があるのは当然のことですし、何度も何度もお願いしても、義務を果たす意思が全くないケースについて代執行を考えるのは当然と思います。

 しかも、今回のケースの場合は土地収用とは異なり、所有権がなくなってしまう話とは異なりますので、広く理解していただけるのではないかと思います。

 ただし、実際の運用にあたっては、課題も少なくありません。

 行政代執行は、「他の手段によってその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるとき」に限って認められる方法です(行政代執行法2条)。

 その判断基準については、事前によくよく摺り合わせ、(1)他に手段が全くないこと、(2)「著しく」公益に反していることなどについて、客観的に証明できるようにしておかなければ、思わぬ落とし穴に落ちる可能性もあります。



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