杉並区議会議員(無所属) 堀部やすし最前線 No.25

「バランスシート」「区財政の現状と見通し」「行革大綱」発表



 さて、今年最後の定例会がスタートしました。今回の本会議・一般質問では、前回・前々回に引き続き「2000年問題」と、10月より認定が始まった「介護保険」をテーマに取り上げます。

 今回の定例会は、多くの議案と並んで平成10年度の決算書も提出されていますので、議会でも、議員全員参加による決算特別委員会が設置され、決算審議が行われます。先日、それに先だって、区の「行革大綱」「杉並区財政の企業会計的分析(バランスシート)」「区財政の現状と見通し」が発表されました。来年からは、区も、都の内部団体という扱いではなく、名実ともに独立した基礎的自治体として出発することもあり、今回の定例会でも、これらが随所で話題に上ることになると思いますが、その概要を要約してみました。以下に掲載しておきますので、ご意見をお寄せいただければ幸いです(なお、要約者は私ですが、私のコメント部分については別に緑色で記載しています)。

 来年からは、東京23区も、都の内部団体という扱いではなく、名実ともに独立した基礎的自治体として出発します。財政再建に向けて、今回杉並区が打ち出した方針(来年度の行革大綱)について、私は、その必要性を大筋で認めたいと思いますし、その方向性も間違っていないと思っています。いろいろ言い出せばキリがありませんが、杉並区は普通の市とは異なり、「東京23区」(特別区)という制約された環境におかれているという特殊性があります。ですから、区がそうした環境のもとで、できるかぎりの努力をしようとしていることは、いちおう評価したいと思っているところです。

 ただし、財政運営に関する今後の見通しが甘いうえに、取り組みのの優先順位にも少々問題があります。そして、なにより大きな問題を放置したままで、細かな問題ばかりを先にいじっているような感じが否めないでいるところです。



●『区財政の現状と見通し』●●●

○景気低迷と景気対策による特別減税の影響で、区税収入は大幅減。さらに、平成11年度からは、それが「恒久的な減税」となり、今後、区税収入の大幅な増加は見込めなくなった。なお、税収はバブル以前の水準に戻っているが、一方で、歳出は減ることなく拡大している。

区税収入 歳出総額
昭和62年度   564億円    931億円
平成4年度 737億円 1336億円
平成11年度 558億円 1337億円
(一般会計のみ。11年度は補正予算1号現在)


■堀部やすしコメント

○現在、減税補てん債の発行と基金の活用で対応しているが、このままでは収支の均衡が保てない危機的状況に陥る可能性もある
■「可能性もある」ということは、ひょっとして、区は、まだ危機的な状況には至っていないと認識しているんでしょうか?(なお、後日、議会審議中に、この件について、区はその通りだと答弁しています)
○経常収支比率は90.1%
■自由に活用できる財源が、実は1割しかないということです。なお、一般に、自治体の経常収支比率は、70%〜80%が望ましいと言われています。

○区債残高は、平成11年度末で869億円
■ちなみに10年前の約3倍です。相当危ない状況だと思いますが? カネが回っていればなんでもいいというものではないでしょう?!

○来年度の財源不足額は、76億円。
■ちなみに、減税補てん債(単なる借金)を30億円出しても、まだ76億円も足りないということなんです。スゴイでしょ?!。

■なお、区税伸び率を0.5%・他は概ね前年並みとして試算。また、都区制度改革・介護保険制度導入の影響は見込んでいないとのこと。




●『平成12年度 杉並区 行政改革大綱』●●●

○平成12年度の単年度計画。平成13年度以降については、新たな大綱を策定予定。


■堀部やすしコメント

○財源確保目標は、「区財政の現状と見通し」で想定された76億円。
なお、今回明確に打ち出されたものは、以下の通り。

■検討中のものは除いていますが、大きなものはこんなところです。しかし、この程度で来年度76億円も削減できるわけがないと思うのですが、どうするつもりなんでしょう?


▼公社等の統廃合
  まちづくり公社の廃止(11年度末)、
  国際交流協会と文化振興協会の統合(12年度)


▼出張所・サービスコーナーの統廃合
  平成13年4月に17ある現在の出張所をすべて廃止。新たに7つの事務所設置。


■13年度、ということは、来年度は削減になりません。これって来年度向けに発表された計画だったように思うんですが・・・?

▼職員定数50名削減
■新規採用の抑制で見込んでいる数のようです。北区は今後3年間新規採用なしを決めたそうですが・・・私は世代間のバランスが重要だとの立場ですが、区長の削減公約からみると、まだまだという感じは否めません。

▼より簡素な組織へ改編、管理職ポストの縮減

▼区政情報室・障害者福祉室の廃止、教育委員会事務局の部を統合

▼敬老会館や保養所の管理運営を民間委託

▼学童クラブに保護者負担を導入(運営時間は延長)


■さっそく、今回の定例会に議案が上程されています。

 (議案では、来年4月1日から月額1,000円、平成13年4月から月額2,000円、平成14年4月以降は月額3,000円となっています)。


▼学校給食調理員の退職者不補充(13年度以降、民間委託へ)などなど


●『杉並区財政の企業会計的分析』●●●

○区の貸借対照表を公表。東京23区内では江東区に続き2番目の発表。

○貸借対照表の導入目的は、@財政状態の把握、A行政コストの把握、B行政の透明性の確保。対象範囲は普通会計。貸借対照表日は、平成11年3月31日。


■堀部やすしコメント

○平成11年3月末時点の資産合計は5212億2千万円。うち9割は処分の難しい行政財産。

■もっとも、出張所や集会施設、福祉施設などのすべてを処分が難しいと見るかどうかは、意見が分かれると思うのですが、とりあえず区はそう思っていないようです。ただし、国や都と比べて、無形資産がほとんどないのも事実で、処分できる財産が限られているというのは事実でしょう。
○地方債や退職給与引当金などの負債は、1383億2千万円。
■区の説明するように、資産の9割が処分できないとなれば、かなりの債務超過であるということになります。なお、数字上は、区民一人あたりの資産は約100万円で、負債は約27万円となりますが、この負債額は、年間の区税収入を超えています。

○道路や橋梁等のインフラ資産については、有用なデータの入手が困難として、バランスシートには計上していない

○退職給与引当金については、このバランスシートが区財政の現状を的確に説明する資料という性格であるため、退職手当の100%を引当金として計上している

■これらが民間との違いとして指摘できるかと思います。もっとも、このあたりは、今後、他の自治体の作成例と照合してみて、統一化を図って行くべきかと思います。

○なお、建物及び工作物・物品について、資産の見積耐用年数に渡って、見積残存価額を0とする定額法により減価償却。
 また、出資金・投資有価証券・文化財・美術工芸品等は、取得価額を計上


■このあたりも、どんなもんでしょう? 区財政の現状を的確に説明するという作成目的を考えれば、時価評価で計上してほしいものです。


 
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