平成26年(2014年)3月31日

 政治資金パーティーとは、政治的な「カネ」集めを目的として開催されるパーティーのことです。

 田中区長も毎年開催しており、一晩で1,700万円ものパーティー収入が確認されている年もあります。

出所は税金

 田中区長の政治資金パーティーの発起人・出席者を確認すると、民主党の大物代議士から、業界団体の代表者まで、様々な名前が並んでいます。

 「発起人」として名を連ねている方々の中には、杉並区から補助金を受けている団体の責任者や、委託という形で杉並区から仕事を受けている団体の責任者が少なくありません。

 田中区長は、パーティー券を売るため、補助金・委託金を支出している各種団体の責任者に、自らの政治資金パーティーの発起人をやらせているのです。

 しかし、区の補助金・委託金の出所は「税金」であり、その補助金・委託金の支給者は、杉並区長です。

 この関係について、田中区長はどう考えているのでしょうか。

知事の政治資金パーティーを批判していた田中良都議

 田中区長は、民主党都議時代、石原慎太郎氏(当時の都知事)による政治資金パーティーの開催を疑問視する代表質問を都知事に行っていたことがあります。

 当時の田中良氏は、石原知事の都政運営を強く批判し、「都知事に就任された石原知事が、都知事の職を背景に政治資金パーティーを開催されているわけですが、政治と金がさまざまに議論されている中で、何のためにこのような資金集めの昼食会を開催されるのか」と迫っていました。

 平成19 年2月の東京都議会のことです。その後、田中良氏は、都議会議員を辞職し、杉並区長に就任しました(平成22 年7月)。

区長として政治資金パーティーを続けている田中区長

 ところが、杉並区長となった田中良氏は、何食わぬ顔で、政治資金パーティーを開催しつづけているのです。

 なんという矛盾でしょうか。自ら疑問視していた石原慎太郎元知事と同じように、利害関係先にパーティー券を買わせているのです。

 当然、このことは杉並区議会でも問題になりました。

 指摘を受けた田中区長は、当初、政治資金パーティーについて「継続して今後やるかどうかということについては、支持者の皆さんと相談させていただきたい」と丁重に述べていました(平成24 年3月8日)。

 しかし、杉並区長選が近くなると態度が一変します。政治資金パーティーは「後援者、支持者の皆様の総意で行っている」と開き直るようになり、補助金などを与えている事業者が購入した金額(内訳)について具体的に聞かれるようになると「逆ギレ」するようになったのです(平成26 年2月17 日、3月6日、10 日、13 日)。

 かねて区の契約・業者指定手続の不自然さを追及してきた私としては、強い関心を抱かずにはいられなくなりました。

区長の政治資金パーティーは、なぜ問題なのか

 政治資金パーティーは、企業・団体献金の抜け道となっています。また、個人献金における量的規制の抜け道ともなっています。

 これは政治関係者なら、誰もが知っていることです。

 通常、5万円を超える政治献金をした者の名前は公表されます。しかし、それが政治資金パーティーという形になると、たちまち規制が緩くなるのです(政治資金規正法)。一人20 万円以下であれば、誰がパーティー券を購入したのか非公開でよいのです。

 このため、パーティー券は、業界団体などに押しつけやすい、と言えるでしょう。もちろん、田中区長の政治資金パーティーも、購入者の詳細(内訳)は非公開です。
 
区の契約・指定業者を決定するのは

 杉並区長は、単に区の契約事務権限を持つだけでなく、入札・契約・指定制度全般について設計する「行政の長」です。

 補助・委託先となっている業界団体の利害関係者にパーティー券を売りつけるのは、不適切です。

 杉並区の財政規模は、特別会計を含めると年間二六〇〇億円。上場企業でいえば、テレビ朝日(売上高)とほぼ同規模にあります。

 その執行権を持つ杉並区長の存在は、いかに大きなものであるか、よく考えるべきでしょう。

 区長が、契約・業者指定において、パーティー券を買ってくれた者を優遇することは、簡単なことです。

 田中区長は、区の統括代表権、予算編成権、人事権、規則制定権、契約事務権限など、個別具体的な執行権を集中的に有する絶大な権力者であることを忘れてはなりません。

大規模パーティーの開催は「自粛」がルール 大臣規範

 同じように行政機関の長である大臣は、政治資金パーティーの開催について「自粛」と取り決められています(国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範)。行政活動の中立性を担保する必要があるためです。

 仮に、財務大臣や国土交通大臣が、大手ゼネコンの関係者にパーティー券を買わせていたらどうなるでしょうか。少し考えれば、誰もが理解できる話でしょう。

 契約事務権限をはじめ個別具体的な執行権を持つ行政の長が、開催を自粛するのは当然とされているのです。だから、都議時代の田中区長も、石原知事の政治資金パーティーを批判していたのでしょう。
 
田中区長を強く批判すると厳重注意で警告に

 このように矛盾のある杉並区政の現状を踏まえ、保守系の最多当選議員( 64 )は、次のように述べて田中区長の姿勢を強く批判しました。

「杉並区政は区長から、トップから腐ってくることを心配する」「こんなことをいつまでもやっているようであれば、田中区長には区長を辞めてもらった方が杉並区のため、また、杉並区民のためにもなるのではないか」「杉並区政の現時点での最大の問題は、はじめに申し述べたとおり、腐りきった田中区長の存在」

 田中区長は、これらの発言を受け、よほど腹に据えかねたのでしょう。お仲間内の民主党議員から、これらの発言の撤回・謝罪の要求が出されたことに端を発し、当該議員は厳重注意を受けることとなりました。

 最終的には、当該議員に対して警告決議文が出され(平成26 年3月18 日)、記録動画から、区長批判発言の一部が強引に削除されています。

 杉並区政において、田中区長を強く批判すると厳重注意(警告)を受けるのです。

 このような異常な区政は、前代未聞です。「真面目な杉並区政」を実現するには、もはやトップを代えるしかありません。

杉並区議会議員(無所属)堀部 やすし




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