杉並区議会議員(無所属) 堀部やすし



(Q3) 年金や介護を破綻させないためにどうする?(20代・男性)

 堀部さんの財政再建を重視する考え方に共感します。でも、僕自身はハッキリいって政治自体には何も期待しないし、選挙もいつも行く気もしません。

 いまからどんなに頑張って財政再建をしたとしても、僕らの将来、きちんと年金がもらえたり、きちんと介護が受けられるとは思えないです。どうするのか興味があります。

 堀部やすしコメント

 とにかく、このままでは年金保険も介護保険も破綻するのは間違いありませんので、抜本的な制度改革として、私は以下のような考えをもっています。

 ■税制のあり方の見直し

 まず、現在の制度では、所得課税(保険料負担含む)だけが強く、相対的にみて資産課税は弱いままです。この結果「所得は多いが財産はあまりない」という方(=都市部のサラリーマンのほとんど)にとって、あまりに酷な税制・保険制度になっています。破綻の危機にある現在、これを改善することが第一と思います。

 また、誰しも生きていれば、医療保険の世話になったり、社会サービスの恩恵を受けるものです。いっさい社会の世話にならず親の介護ができるわけはないのですが、これも必ずしも相続の際に反映されていません。

 たとえば、現在の制度では、社会全体の負担で高齢者の生活を支えたにもかかわらず、高齢者の手元に残った財産は、子どもだけが相続するという制度になっています(相続税はありますが、その対象者は必ずしも多くなく、また「実効税率」も決して高くありません)。これもフェアな制度ではありません。


 ■年金も介護も「リバースモーゲッジ」的な考え方を導入すべき


 そこで、年金にせよ、介護にせよ、今後は「完全積立方式」を基本としなければなりません(現在は修正積立方式=事実上の賦課方式)。

 (1)まず、自らが過去に負担した金額と、実際にサービスを受けた額(受給した金額)と比較対照する。
 (2)ご本人がお亡くなりになったときに、それを精算する。
   
   負担よりも受取額が多かった場合
      →残された財産の範囲で支払ってもらう(リバースモーゲッジの考え方)
      →とくに相続財産がなければ、支払う必要はない(※課題:生前贈与を
        どうする?)

   負担した金額よりも受取額が少なかった場合
      →他の方の年金・医療福祉に役立てる(=国は相続人には返還義務
        を負わない)

 これらを実践すれば、真の弱者の影響も最小限に抑えることができ、課税・保険料負担の不均衡も改善することができます。年金や介護保険の破綻を防ぐためには、こうした不均衡やアンフェアを是正することが急務です。

 なお、小泉内閣は「(仮称)社会保障個人会計システム」の導入を目指していくとのことです(経済財政諮問会議/2001年6月)。まだ全貌が見えないのでなんとも評価できませんが、個人レベルで社会保障の「負担」と「給付」が評価できる点で(=なにより「わかりやすい」という点で!)、私も期待をもっています。