●本会議(議事録)●


ペットをめぐる社会問題について


1999年夏


アニマル・セラピーの効果が評価されている一方で、地域では、野良ネコなどの被害も増えています。しかし、これについては、地域でも感情的な対立が起こっているものの、何ら建設的な話し合いは行われてきませんでした。

 人口密集地では、イヌ同様にネコについても、人間がよく管理をしていく必要があります。そこで、「地域猫」という考え方(横浜市磯子区で「猫の飼育ガイドライン」に基づき実施中。野良ネコを減らす有効な方法として注目されている)を説明し、地域ボランティアとの協働を求めました。また、区に対しては、猫の登録制、飼育指導員制度などを検討していくよう提案しました。



 殺人犯の約半数にあたる46%が、過去に動物への虐待を行っていたというデータがあります。最近、杉並でも、酒鬼薔薇聖斗くんが犯したような動物虐待事件が立て続きに起きていますが、これについて、区はあまり問題意識をもっていなかったようです。

 
最近では、アニマル・セラピー等、ペットを用いた治療方法が効果を上げ、評価されていますが、その一方で、ペット動物が人間にとって、迷惑な存在にもなっています。区では、人間社会に合わない不適切な飼い方や、動物遺棄を防止することについて、実効のある対策は、ほとんどとられていません。また、その実態について、都で把握していることであっても、区では認識していないということがわかりました。また、公園の砂場の汚染も心配ですが、区はその現状について、回答することができませんでした。

 
野良ネコを減らすため、「地域猫」という考え方(横浜市磯子区で「猫の飼育ガイドライン」に基づき実施中。野良ネコを減らす有効な方法として注目されている)を取り入れるよう求めました。また、猫の登録制、飼育指導員制度、犬猫の正しい飼い方普及員制度なども検討するように求めました。
 その検討や研究は、これから精力的に行うという答弁が返ってきましたので、今後は、自発的に問題解決に取り組んでいる意識ある区民と協力し、その早期実現を図りたいと考えています。





   ここから議事録です



 第2の質問は、ペットをめぐる社会問題についてであります。


 杉並・高円寺にも、酒鬼薔薇聖斗くんが出ないとも限らないが?(質問1)


 まず、最初に、区内で発生した動物虐待の事例にふれたいと思います。区でどの程度把握していらっしゃるかわかりませんが、まことにむごい動物イジメになっております。まず、これについて、社会問題という見地から、お尋ねいたします。

 今年4月下旬、高円寺南4丁目付近で、連続してネコが虐待されるという事件が発生しました。ナイフで刺されたネコや、熱湯や薬品をまかれて皮膚がただれてムゴイ姿に変わっているネコが多発したのです。また、6月に入ってからは、同じく高円寺南4丁目付近で、何らかの薬品を飲まされたため、やたらノドの渇きを訴えるネコが泣き叫び、苦しんでいたという事例も、私のところに報告されております。このうちの2匹は、ほどなく亡くなりまして、近隣の寺がこれを供養したとのことであります。非常に悪質で残忍な事件であります。

 ところで、たいへん興味深いデータがあります。アメリカのFBI心理分析官ロバート・K・レスラー氏の書いた書物で、講談社から刊行されております「快楽殺人の心理~FBI心理分析官のノートより」という書物があります。これによりますと、殺人者の約半数にあたる46%が、動物への虐待を行っていたという実例が載っております。動物虐待を監視することは、弱者への暴力・虐待・犯罪を防ぐことと深く関連しているというわけです。最近、「動物の保護および管理に関する法律(いわゆる動管法)」の改正を求める動きがありましたけれども、私は、動物愛護という観点ではなく、こうした文脈で考えてみたとき、これをたいへん興味深いというふうに思うわけです。

 高円寺南のネコが虐待されていたという事件も、ただのネコ虐待だけで済むのであれば、世間話で済ませていられることでしょう。ただ、1997年に神戸で発生した連続児童殺傷事件(いわゆる酒鬼薔薇聖斗事件)を思い出していただきたいと思います。連続通り魔事件のあった数日前、背中を切り裂かれたネコが路上駐車された車の上に置かれていたということが報告されております。ちなみに、今回、高円寺南で起きたネコへの虐待の例でも、背中を切り裂かれたネコが報告されております。

 酒鬼薔薇聖斗くんの事件の場合も、よくよく調べてみれば、最初のころの興味関心は、どうやら、こうした動物虐待に過ぎなかったというお話です。それが、いつしかエスカレートして、対象が人間にまで及んでしまった。こうした重みを私たちは忘れてはならないと思うわけです。高円寺地域でも、過去に子どもが被害に遭った事例が報告されておりますけれども、高円寺南のネコ虐待事件も、笑っていられる状況ではありません。

 そこで、まず、細かな質問にはいる前に、このような現状について、区はどのように考えているのか、また、今後、どのような対策をとる必要があると考えているのか、お伺いしておきたいと思います。


 
一方で、アニマル・セラピー等、人間に安らぎを与えているペットが、他方では人間に迷惑な存在になっているが?(質問2)


 さて、具体的な質問を進めていきます。

 古くから、ペット動物は、人間の生活と深い関係を持ってまいりましたけれども、最近では、高齢化が進行し、核家族や単身者が増加するなかで、ペット動物が、精神生活を支える存在にまでなっているという事例が増えております。とくに、最近は、アニマル・セラピーという動物を介した精神医療や心理療法などが注目を集めております。

 たとえば、心筋梗塞にかかった100人の患者が発作後1年たったころの延命率を調べてみたところ、ペットを飼っていた患者は、飼っていなかった患者の3倍も生存率が高かったという研究報告があります。また、かつて、横浜の老人ホーム「さくら苑」では、施設内でラブラドル・レトリバーを2匹飼ったところ、それまで4割もいた寝たきり患者が何とゼロになったという驚くような事例も報告されております。病める現代人の健康づくりに、ペット動物が大きく寄与しているというわけであります。

 しかし、その一方で、動物を人間社会に合わない不適切な方法で飼育したり、まちかどに安易に捨てるという事例も増えており、動物をめぐるトラブルが数多く発生しているのも、残念ながら、事実であります。とくに、町中でのふん公害や、公園の砂場の汚染、また、いわゆる「野良ネコ」がうるさいなどといった苦情は、後を絶たないようであります。最近では、こうしたペットへの対応の仕方をめぐって、人間同士のトラブルも増え、地域不和をもたらしております。一方で、安らぎを与えているペットが、他方では、迷惑この上ない存在になっているわけであります。ペットによって、救われていらっしゃる方のためにも、この迷惑な状況は、改善していかなければならないと考えます。区では、どのようにお考えでしょうか。ご見解をお聞かせください。
 それから、現在、区内のペットをめぐって、寄せられている苦情内容・苦情件数は、どのような状況にありますでしょうか。また、寄せられているそれぞれの苦情に対して、区では、どのように対処されてきたのでしょうか。あわせて、お答えください。


(質問3 不妊手術助成を廃止した後、区民に対するペットの飼い方指導はどうなっているのか?)

 つぎに、とくにネコの問題に絞って、お尋ねします。

 さて、ネコはたいへん繁殖力が旺盛な生き物です。放置しておきますと、年に3回も4回も子どもを産むくらいであります。ですから、不妊去勢手術をしていないネコが、公の場所に放し飼いになっているのは、杉並のような人口密集地では、はなはだ迷惑なことであります。ましてや、ペットを安易に捨てるというのは、完全なルール違反でありまして、これらは、先ほど指摘した「動管法」と、都の「動物の保護及び管理に関する条例」違反にあたります。

 ちなみに、区では、平成8年より、不妊手術への助成を廃止しているわけですが、もちろん、その後、「野良ネコ」問題が解決した形跡はありません。このいわゆる「野良ネコ」への対応については、いくつかの点から、改善が必要ではないかと考えておりますが、助成を廃止したなら、したで、いったい、その後、猫の飼い方などについて、どのような指導をされてこられたのか、お答えください。また、今後、区はどのようにこうした猫の飼い方について指導していくつもりであるのかも、あわせてお答えください。


質問4 野良ネコの数は?)
 次に、具体的に「野良ネコ」の問題についてお尋ねします。まず、杉並区は、たいへん「野良ネコ」の多い地域ですけれども、区内に生息している野良ネコの数は、おおよそ、どのくらいになるのでしょうか。お答えください。


(質問5 野良ネコによる公園の砂場の汚染は?)
 野良ネコで心配なのは、なによりも感染症です。人間にも動物にも感染する病気は、「人畜共通感染症」などと呼ばれておりますが、ペットや家畜から人間にうつることがありますので注意が必要であります。かつて公園の砂場から、イヌやネコの糞に混じって排出されるイヌ回虫とネコ回虫が発見され、世間を騒がせたことがありましたけれども、砂遊びをした子供が、汚れた手でおやつを食べたりすると、イヌ・ネコ回虫の卵を飲み込んでしまう可能性は、今でも否定できないように思います。いま現在の公園の状況、および汚染状況・感染状況についても、お伺いします。また、現在の区の対応策につきまして、ご説明ください。


(質問6 「地域猫」とは・・・この考え方を区はどう考えるか?)
 さて、都の「猫の飼育実態調査」などを見ていますと、現状では、屋外のみで飼育されている猫の不妊去勢手術の実施率は、都全体で約六七%に止まっているというお話です。杉並区ではどのくらいになっていますでしょうか。おそらくは、そう変わらないものと思いますが、屋外にいて、しかも不妊手術も、去勢手術もしていないネコが数多く存在するかぎり、野良ネコは減らないことでしょう。

 先ほども指摘したように、ネコは繁殖力が異常に旺盛です。ですから、片っ端からネコを殺したり、虐待したとしても、ネコを捨てる者がいるかぎり、野良ネコは減るわけでも、ネコの被害が減るわけでもありません。ところが、野良ネコというと、区民のなかには、「捕獲処分してください」と言う方も少なくありません。学校では子どもに「生きものを大切にしましょう」と教えている傍らで、地域ではそんな矛盾した言葉が飛び交っているわけです。教育上もあまりよいこととは言えませんし、そもそも、動管法の規定では、殺傷処分目的でむやみやたらに動物を捕獲することは、これはハッキリと禁じられていることです。そうであれば、野良ネコを減らすためには、地道に不妊去勢手術を進めていくより他に手段はないわけであります。

 こうした悪循環のような状況に業を煮やし、意識ある区民のなかには、住環境改善のために自発的に自費で野良ネコに不妊去勢手術を施していらっしゃるような方々がいらっしゃいます。こうした手術によって、野良ネコの繁殖を防ぐことができますし、ネコ自体もたいへん大人しくなるため、ニャーニャーとわめき散らすことも、なくなりますので、効果を上げている所もあります。こうした方々は、依頼心が強いわけではなく、これからも、とくに行政に頼らず、自費でも活動していくという、たいへん頼もしい方々でいらっしゃいます。当然、こうした意識の高い区民の活動を、行政が足を引っ張ってはいけないことは言うまでもありません。

 しかし、野良ネコにこうした手術を施すのは、なかなか難しいことであります。とくに、捨て猫が生んだ野良ネコは、人間慣れしていないため、なかなか人間になつきません。ですから、ニャーニャーうるさいけれども、なかなか捕獲できないという状況にぶち当たります。

 そこで、ネコの習性を理解し、エサを与え、手なずけ、そしてネコが人間に慣れてきたところで捕獲をし、不妊去勢手術を行い、あとは、動管法の規定に従って、地域全体で管理する。手術してしまえば、一代限りの寿命で終わらせられますから、徐々に野良ネコはいなくなる・・・と、こうした実践から、野良ネコが減少し、成果を上げている横浜市磯子区で実施している「地域猫」という考え方があります。

 この磯子区では、野良ネコを地域全体で管理していくという「ネコの飼育ガイドライン」を作り、これを区民に対して、積極的に宣伝しております。こうした地域で管理する「地域猫」を増やすことで、ネコの被害が近隣からなくなっていったという事例が、先日のNHKテレビでも、紹介されておりましたけれども、今ではこれが多くの市民の賛同を得て、地域社会のつながりを取り戻すきっかけにすら、なっているくらいであります。磯子区には、もはやネコをめぐる地域不和はなくなっていっているという状況にあります。

 ところが、この杉並区では、未だに野良ネコはたいへん多い状況であります。杉並区では、数年前まで、公園に「ネコにエサをやらないでください」という看板が張りつけられておりましたけれども、まだまだ、こうしたエサをやって適切に管理をする中で野良ネコを減らすということに対しては、なかなか意識が広まっていない状況にあります。意識ある区民が地域環境を改善するために、ボランティアで去勢手術・不妊手術をしようにも、エサを堂々とやることができず、まだたいへん肩身の狭い思いをしております。いっさいエサをやるな、と言う方もいらっしゃいますけれども、エサをやらなければ、ネコは今度はゴミをあさったり、他の小動物を食べるなどといったように、さらに激しい害を地域でふりまくようになるものです。犬と同様に、ネコも人間がよく管理をしていかなければ、ネコは悪さを繰り返すことでしょうし、また、野良ネコもいっこうに減らないわけであります。

 もちろん、人間の側に、マナーを守らない、いい加減なエサやりもあるようですので、一概にエサやりが良いとは言えないところもありますけれども、こうした野良ネコを減らすために必要な「適切なエサやり」までが、否定されているのは、少々問題であります。

 私は、杉並区でも、そろそろ横浜市磯子区の事例を見習って、「地域猫」という考え方を採り入れ、犬同様にネコをある程度地域で管理していくべきだと考えているのですが、この近頃話題になっている「地域猫」という考え方について、区ではどのように考えていらっしゃるのか、ご見解をお伺いします。財政難の折りでもあり、私はネコの不妊去勢手術に補助しろと言うつもりはありません。ただ、これを自発的に進めている意識ある区民のバックアップをお願いしたい次第であります。


(質問7 都の動物保護管理審議会・答申「猫の適正飼育推進策について」
 最後に、この問題に限らず、都の「動物保護管理審議会」は、この3月に出した答申「猫の適正飼育推進策について」において、さまざまな指摘を行っております。中間答申からはもはや8ヶ月、最終答申が出されてからは、3ヶ月が経ちましたが、区としては、この答申を踏まえて、いったい、どのように猫の適正飼育を推進する準備があるのか、お尋ねいたします。以上です。


 
 理事者の答弁
  
質問1・4・5・6については、明確に答えませんでした。
   そこで、多少、焦点を変えて、再質問しています。



保健衛生部長

 私からは、ペットをめぐる社会問題に関してのご質問にお答えいたします。多岐にわたっておりまして、いくつかまとめながら、お答えを申し上げます。

 最初に、猫の虐待問題、あるいはアニマル・セラピーの効果等を引用していただきまして、動物と人との関係についての総論的なお話でございました。

 基本的な認識としましては、動物と人がいかに共生するか、あるいは動物の好きな人と嫌いな人が、どう地域でお互いに共生していくかを考えながら、動物愛護の精神、これは人を大切にする心に共通するものであるというふうに考えておる次第であります。
(読者のみなさんは、お気づきだろうが、私は動物愛護の話がしたくて、今回の一般質問をしたのではない。杉並でも酒鬼薔薇聖斗くんが出てこないとも限らない、ということについて指摘したのが、こんな当たり前の回答しか返ってこないのは、驚きである)

 また、特に今日段階では、動物の、この人に対するさまざまな効果のなかで、特にご指摘のような事例を通して、人の心を癒すために、動物がたいへん役にたっているということについても、認識をしておる次第であります。

 猫の飼い方対策に関する問題でありますが、まず、猫の、野良猫についての実態の把握でございますが、なにぶん、現段階では、飼い猫と野良猫の見分けがつかないわけでして、野良猫の数の実態の把握は、してございません。(質問4への回答であるが、実にふざけた回答である。私は、東京都の「猫の飼育実態調査」を事前に読んだうえで質問しているのだが、都にはその資料があるのに、平気で実態を把握していないと断言してしまうのだから、開いた口がふさがらない)

 区としましては、かつて、平成3年度から不妊手術助成をしてまいっております。平成8年度までに、約1万件を達成したわけでございますが、基本的には飼い主の責任において、これをなすべきである、ということと、先ほどいいました数字の一定の成果をあげたということで、平成9年度からは、飼い主の方に自己負担でお願いしているということでございますが・・・

 具体的な猫の苦情の問題、犬猫の苦情の内容や件数、それから、それに対する対応でございますが、平成9年度、区に寄せられました苦情や相談の総件数は、犬猫あわせて921件でございます。また、その内容ですけれども、多いものでは、他人の家への迷い込み、あるいは失踪、フンの放置、鳴き声、などでございます。

 こうした苦情に対しましては、状況を確認の上、現場に出向きまして、適正な飼い方の指導などを行っております。また、区民のみなさん方には、動物の適正な飼い方の冊子、あるいは猫の飼い方も含めてでございますが、動物愛護のパンフレットをシリーズで作成しまして、特に小学校のお子さんたちに対しては、学校で副読本として使っていただくような資料も作成配布しておりまして、広報などで、普及啓発に努めております。

 今後、区も区民や民間団体と協力しながら、ペットと人が快適に共存できるような街になるように努力したいと考えておりますが、最後にご指摘のありました、東京都がこの3月に答申を出しました東京都動物保護管理審議会の答申でございますが、3月に出まして、私どもとしても、この中身を充分研究しまして、たとえば、この横浜の磯子区の「地域猫」の問題等もご指摘ございました。どのようにしていけばいいのかということについて、早急に研究をしていきたいと考えております。

 なお、細かな資料等・資料等、私どもで提供できるものがございましたら、のちほど要望に応えていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。私からは以上です。




 堀部やすし再質問



 それから、第二番めのペット関係の質問ですけれども・・・


(再質問1 感染症の現状がわからないなら、せめて公園管理の徹底を!)
 かつてあった「エサをやらないでください」という看板についてですけれども、地域によっては、その昔、土木課あたりと交渉いたしまして、看板の撤去を求めたところがありました。それによって、看板は消えていったわけですけれども、その後は、「犬を入れるな」という看板はありますけれども、ネコについては、何もありません。先ほども指摘しましたように、感染症の問題を考えるますと、これでは不安ですし、実際に感染症がどうなっているかについては、お答えいただけませんでしたので、これはたいへん不安なことでございます。公園美化の観点からも、やはりあまり良いこととは思えません。エサの後片づけを求めたり、猫のフンをきちんと処理しましょうというルールを喚起する、そうした看板を立てていく必要があると考えるわけですけれども、ご見解をお伺いいたします。


(質問2 動物の飼育指導を行う「飼育指導員」制度、「犬猫の正しい飼い方普及員」制度を導入すべき・・・パンフレットを配っているだけでは改善しない!)
 ところで、残念ながら、ペットの生態をよく勉強することもなく、安易にペットを飼う方は少なくありません。区では、さまざまなパンフレットで告知して飼い方などを指導しているというお話ですけれども、しかしながら、いまだに、捨てネコは減っていない模様です。都の「猫の飼育実態調査」によれば、迷子札や連絡先を明記した首輪をつけているという飼い主は、全体のたった8%とたいへん低い割合に止まっております。しかし、それを非難しているだけでは、現状は改善するわけはありません。パンフレットを配っているだけでも、改善するわけはありません。これについては、文京区には古くから動物の飼育指導を行う「飼育指導員」の制度、また「犬猫の正しい飼い方普及員」の制度があります。杉並区では、こうした効果のある対策をとるおつもりはないのでしょうか、お尋ねいたします。

 これは、なにもペット問題に限ったことではありませんが、社会のルールを守らない大人の姿勢をみて、育っている子どもたちの未来を心配するのは、私だけではないはずです。学校では、命あるものへの慈しみや、社会ルールを守ることを指導しておきながら、地域では、猫の飼い方一つとっても、平気でルール違反を放置している。これでは子どもたちに大きな口を叩けるはずがありません。実効ある対策を望む次第です。


(質問3 独自のペット条例の制定については、どう考えるか?)
 また、先ごろ、国政では、動管法の改正が話題になっておりました。最近では、いくつかの自治体で、すでに独自のペット条例が制定されてもおります。都には「動物保護相談センター」がありますが、管轄があまりにも広く、効果をほとんど上げていないという状況にあります。これは本来、区で対策を実施していくべき性質のものであります。そこで、この杉並区においても、この流れを受け、ペットの飼い方や しつけ方、捨てネコ防止策など、飼い主の責務を明確にすることを盛り込んだ条例の制定をそろそろ検討すべきかと思うわけですけれども、ご見解をお伺いします。


(質問4 ネコも犬と同じように登録制を導入すべきだ)
 さらに言えば、私は、ネコについても、犬と同様に、登録制を導入すべきであると考えますが、ご見解をお伺いします。これによって、ネコの飼育者の自覚を促すだけではなく、飼育者情報を登録し、ホームレス猫の里親探しにも一役買うことができるはずでありますから、「野良ネコ」防止に効果があると思います。先に指摘いたしました文京区で実施している、こうした指導員制度とあわせれば、きわめて実効性の高い施策になると思うわけですけれども、ご検討いただきたいと思います。ご見解をお聴かせください。以上です。



私の再質問に対する理事者の答弁


保健衛生部長

 再質問4点ございました。これについてお答えを申し上げます。公園における表示の問題、それから2点目が、飼い方指導の問題、特に地域でのいわゆる「地域猫」を含む飼い方のルールづくり、これをどうするかという問題、それから、ペットの飼い方等を盛り込んだ条例、これの検討の問題、それからネコ登録制についての問題、この4点であったと思います。

 最初の答弁でも申しましたように、今年の3月に都の方から審議会答申も出ました。それらを踏まえまして、区としてのネコに関する問題についての研究を精力的にやりたいという風に思いますし、その際、議員の方から指摘していただきましたさまざまな問題を十分配慮しながらやっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。(「精力的にやりたい」というなら、精力的にご答弁いただきたかった次第です(笑)。




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