杉並区議会議員(無所属) 堀部やすし 2007
杉並区議選2007を前に考える


●たしかに区債残高は減ったが、「長期債務の総額」は、依然として高水準
たしかに、杉並区の区債残高は減った  最近、区は「区債残高が減った」と説明しています。確かに、これは事実です(表1)。

 しかし、区債だけが債務(借金)というわけではありません。ここが重要です。

 翌年度以降に支出が義務づけられている「債務負担行為」のような隠れた債務を忘れてはならないのです。

しかし、区債だけが  債務というわけではありません。

※「債務負担行為」とは
 決算書に出てくる区の長期債務の一つ。「予算外義務負担」とも呼ばれるもので、すでに将来の区の支出が義務化されているものです。杉並公会堂事業がスタートし、学校改築なども本格化してきたため、増加してきました。


杉並区の「長期債務の総額」は、依然として高水準  表2は、区債残高(白)に、区の債務負担行為の残高(黒)を足し合わせた杉並区の長期債務です。

 たしかに、区長が就任した平成11年度以降、表向きの区債残高は大きく減りました。

 しかし、逆に債務負担行為を増やしていますので、実は杉並区の長期債務は、あまり減っていないことがわかるのです。
区債残高(白)+区の「債務負担行為」残高(赤)


 区債残高が減っても、区債によらない形の債務が増えているため、杉並区の「長期債務の総額」は、言われているほど減ってはいないのです。
●迫り来る学校・公共施設の老朽化

 各種社会資本が老朽化しています。昭和30年代後半から40年代の高度成長期に大量に建設された建物が、更新期を迎えているのです。

 とくに学校の老朽化は深刻で、近い将来に建て替え等の対応が必要な学校数は、約50校にも及びます。

 学校を建て替えるために、一校あたり約30億円程度の費用がかかっています。このままでは50校もの校舎を建て替える余裕はなく、統廃合をしても、資金不足は否めない情勢です。

 そこで、23区は連携し、必要な財源配分を求めて、東京都と交渉してきましたが、その結果、杉並区が受けた財源配分は、9億円に終わりました。しかし、これでは1校分も満たせません。

 東京都との再交渉が始まっていますが、東京都は9億円で「学校改築の問題は決着済み」として全く取り合わないため、事態は深刻です。

 「杉並区は基金を貯め込んでいるから健全財政」などというのは、素人考えもいいところなのです。区の基金(預金)といっても、実際には将来の使い道がほぼ確定しているものが大半なのですから、勘違いしてはいけません。
 ●こんなところにも「隠れ借金」
 また、8年前には存在しなかった「清掃一部事務組合」が、約1000億円もの長期債務を抱えるようになっている点も見過ごせません。

 これは、上の表1表2に含まれていない債務(借金)です。

 清掃一部事務組合に対する杉並区の負担割合は、全体の6〜7%程度ですから、抱えている債務のうちの65億円程度は、杉並区の「隠れ借金」ということができます。

 杉並区では、赤字区債の発行をストップさせ、いち早く繰上償還を行い始めました。その結果、区債残高が減ったのは事実です。

 しかし、これだけでは、まだ長期債務が大きく減ったとまでは言えない段階なのです。
 ●現状は「病児保育室」すら未整備
 少子・高齢化は確実に進行しており、区としても、積極的に対応する必要に迫られています。安定的に介護・子育てができる地域環境を整えていかなければなりません。

 しかし、杉並区では、小児科対応の病児保育室すら整備できていない状況が続いています(現状は病後児のみ)。また、地域に根ざしたグループホームの安定的な整備も大きな課題です。

 少子・高齢社会に対応するための予算を安定的に確保していくためにも、堀部やすしは、入札・契約改革はじめとした「公務のあり方」の改善を強く主張してきました。

 今後も必要な財源を生み出していくために、利益誘導・金権政治とは一線を画して取り組みを進めていく必要があります。

杉並区の「長期債務の総額」は、実はまだあまり減っていません。
特権やムダを排除して、真に必要な政策に財源を。


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