杉並区議会議員(無所属) 堀部やすし最前線2002

骨抜きにされた入札改革
〜杉並公会堂の改築を例に〜

公会堂問題に関する次回の報告
 問題の多い区の入札・契約制度。今回は、杉並公会堂改築等事業を一例に区の実態を報告します。

 杉並区の公共工事 高値落札の実態

 最近、鈴木宗男代議士の逮捕などで、入札談合(疑惑)が話題になることが多くなりました。

 たとえば、都内でも、警視庁が発注した信号機の設置に高値落札が多いというのですが、予定価格に対する落札価格の割合(落札率)は、平均96・8%とのこと。たしかに、談合が疑われても仕方ない水準といえるでしょう。

 ただ、それを言えば、過去の杉並区の入札結果も似たようなもの(97%超)。鈴木宗男容疑者が関係した件も、落札率は97%超だったのであり、この機会に杉並区の入札の実態についても、ご関心をもっていただければと思います。 


 すでに高値落札の実態については、こちらで話題にしていますが、厳しい財政事情を踏まえれば、こうした状況は、もう容認できない段階であり、私は、しぶとく改善提案を行ってきたところです。

 このようななか、昨年、杉並区はようやく入札・契約制度について抜本的な改善に取り組みはじめ、現在では、その一部が試行されるようになっています。

 しかし、残念ながら、杉並区では制度改革を実施しても、ほとんど状況に変化がなく、あいかわらず高値落札が続いてきました。改革が中途半端なものであることが、その要因です。

 談合の芽を摘む方法は

 横須賀市などでは、指名競争入札を廃止し、抜本的な入札改革を進めることで、いま落札価格を大きく下げてきています。地方でも実現できている本格的な入札改革が、ここ杉並区で実現できないはずはありません。

 談合の芽を摘む方法は、簡単なことで、誰が入札するか事前にはわからない制度にすることが、もっとも効果的です。

 横須賀市も、これで成果を挙げ、年間42億円ものコスト削減に成功しており、私は、これに習った入札改革の実施を強く主張してきました。


 幸い、私が主張する入札改革は、表向きには概ね認められ、改革は大きく前進することになりました。区が議会で約束した入札改革には、次のようなものがあります。

1. 条件付一般競争入札の実施のほか、公募型の入札も拡大 
2. 入札業者が一同に集まる機会をなくし、談合の芽を摘む
  ※たとえば、全業者合同での現場説明会等を廃止
3. ホームページなどでオープンな情報提供を進める
4. 業者との癒着・接点をなくす
  ※連絡は、郵便やFAX等を活用。設計図書は外部で販売するなど
5. 郵送入札・電子入札の実施など


 5は段階を追って実施されることになりましたが、他については確実に実行に移されていたはずでした。

 ところが、今回改めて詳しく調査してみると、実際にはまだ「現場見学会」と称して、業者が一堂に会する場を区が設けている事例を発見しました。議会で約束した公約が守られていなかったのです。

 入札希望者が一同に集まれば、談合の打ち合わせをする可能性が高いという指摘があるからこそ、「合同での現場説明会」を廃止したはずなのです。

 にもかかわらず、今度は「現場見学会」と名を変え、ほとんど趣旨の変わらない会合を区が主催して実施していたわけです。これでは全く意味がありません。

 杉並公会堂の件では、さっそく入札改革が骨抜きに

 この点を担当に問い質すと、「現場説明会ではなく、あくまで現場見学会だ」「一同に会したといっても、名刺交換等はなく、淡々と見学して終わりにしたので問題ない…」と言い張っていました。

 公約違反を認めたくないのはわかりますが、あまりに苦しい言い訳に、私も言葉を失ってしまいました。

 不審に思った私は、さらに詳しく確認してみました。

 すると、さらに「設計図書の販売」と称して、入札希望業者全員を特定の日時に区役所に出頭させていたケースも判明しました。これも、先に確認したように、すでに実施を公約していた入札改革に反することでした。

 このようなものは、他の例にならって、外部で販売するか、郵送で済ませればよいことですが、区はここでも入札希望者が同一時間帯に集合する機会をわざわざ提供していたのです。こんなことでは、まるで区が談合を奨励しているようなものです。

 これらは、私が杉並公会堂改築の件を調査する中で発見したことです。

 杉並公会堂の改築とその後の運営は、収入を差し引いたとしても、33年間に、260億円もの支出(インフレ等は考慮外)が発生しかねない一大事業です。

 事業規模の大きさから考えてみても、それこそ談合によって、非常識な高値で落札されることだけは、絶対に防止しなければならないはずでした。

 せっかくの一般競争入札も 入札公告後、たった2日で締切とは!

 今回本格的にスタートした入札改革の目玉は、一般競争入札の拡大でした。

 たしかに、条件付一般競争入札の実施数は増えました。

 しかし、実際には入札公告後、たった2日で申込を締め切ってしまうものが大半となっており、実質的に入札は骨抜きにされていたのです。

 公告後たった2日で情報を入手し、申込の判断ができる方は、かなり特異な方でしょう。

 実際、事前に一般公表されている年間発注予定表は、概略しか示されておらず、そこまで詳細な日程を知ることはできません。そのうえ2日で締切というのでは、実質的に競争が阻害されていると言わざるを得ないのです。

 これでは「事実上、詳しい情報を事前に知り得る者だけを入札に参加させていたのではないか」「天下り先の確保に走っているのではないか」と勘ぐられても仕方ないでしょう。

 表面的には改革が進められたものの、適正な入札制度がいまだ実現できていないことがお分かりいただけると思います。

 談合で物事を決める時代は、もう終わりにすべきだ

 こうした入札・契約の問題については、私や田代議員などが強く追及してきたことで、一定の成果を出すことができたと自負していました。

 実際、以前と比べれば、入札情報はかなり一般にも公表されるようになってきましたし、表向きには、確実に改革が進められていました。それだけに一連の動きは、本当に無念で仕方がありません。

 政治的に力のある一部の者だけが、談合で物事を決める時代は、そろそろ終わりにすべきです。いや、もう終わりにしなければなりません。

 それは、財政難を克服する意味でも大事なことですが、もちろん、それだけではありません。横須賀市の例をみてもわかるように、妙な参入規制が撤廃されることで、やる気のある下請け業者が元請けに昇格した例もあるのです。

 誠実に努力する者こそが報われる社会を実現するためにも、真の入札改革が必要と考えています。今後も腐敗と戦い、厳しいチェックを続けます。ご感想をお寄せください。
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