杉並区議会議員(無所属) 堀部やすし最前線2002
入札・契約制度改革

杉並の現状 と
お役所の「IT整備」の落とし穴


 区の決算や入札経過調書等を検証すると、区の入札・契約事務が適切とはいえないこと、そして、それが「談合」や「高コスト体質」を助長していることが、よくわかります。現在、強く改善を迫っています。

高値落札の実態
 平成12年度の終わりごろより、区は入札・契約制度の改善作業に取り組み、その一部を試行させました。

 しかしながら、その効果はまったく現れず、予定価格に対する落札率の平均も、95%をゆうに超えている有様です。なかにはせっかく入札を行ったにもかかわらず、予定価格100%ちょうどの随意契約に切り替わっているものも、数多く見受けられました。

 つまり、およそ入札において、まともに競争したとは思えない状況なのですが、これは閉鎖的な指名制度の存在など、やる気のある業者に対する参入規制の存在が、その最大の原因と考えます。
杉並区公共工事の入札結果(予定価格に対する落札率の平均)
平成9年度 97.76%
平成10年度 97.04%
平成11年度 97.23%
平成12年度 94.40%
平成13年度(〜現在) 97.64%
 なお、平成12年度末より一部入札改革を試行(13年度4月より本格実施)したのですが、不幸にして平成13年度現在のところ、以前と大差ない高値落札傾向が続いてしまっています。

従来型の指名競争入札は廃止すべき

 横須賀市では、指名競争入札を廃止し、抜本的な入札改革を進めることで、いま落札価格を大きく下げてきています。

 かつては予定価格より大きく落札価格を下げることは不可能であるかのように説明されてきたところですが、横須賀市などでの実績は、それが嘘であったことを証明しています。

 地方でも実現できている本格的な入札改革が、ここ杉並区で実現できないはずがないと考えますが、残念なことに、杉並区では入札・契約制度改革を実施しても、ほとんど状況に変化がなく、高値落札が続いています。

 厳しい財政事情を踏まえれば、こうした状況は、もう容認できない段階であり、今後、入札については、あくまで一般競争入札を原則とすべきと考えています。

 また、かりに指名制を採用する場合であっても、あくまでそれは「公募型」とするべきであり、区が恣意的に設定する実質的な参入規制は、最小限度に止めていくべきです。


後年度負担も一括して入札にかけるべき

 ところで、平成12年度の契約では、住民票など証明書自動交付システムの開発において、ダンピングとおぼしき入札結果が出ています。

 しかも、決算審議の中においても、システムの今後の維持管理費については、ついに明確に示されることもなく、後年度負担にいっそうの懸念を残すこととなりました。

 この入札においては、初期投資だけを対象として、もっとも安い業者を選定したわけですが、情報システム開発の場合、それは区にとって極めて不利な契約方法であることを指摘しておかねばなりません。

 ITのように維持管理に専門的なノウハウが必要とされる資産においては、必然的にその資産を整備した業者が、以降そのまま随意契約によって維持管理業務を請け負うことが一般的となっています。

 つまり、業者は整備段階で赤字を出したとしても、なんとか落札できれば、後の運営費や維持管理費において、その分たっぷりと利益を回収するということが可能なのであり、それが超安値落札、ときには1円落札が発生する最大の原因なのです。

 このように、後年度負担について、いっさい競争原理を働かせることなく、初期投資額だけに注目して指名競争入札を行っているのは、由々しき問題です。初期投資だけでなく、後年度負担もあわせて一括して競争入札にかけなければ、長期にわたって最少の経費で最大のサービスを提供することはできないはずなのです。

 今後、電子区役所の実現をめざすなかで、このようなことが引き続き横行するようなことがあれば、将来への影響は計り知れないものがあります。私は即刻改善すべきと指摘しています。

 実際、民間では、そのような入札方法を採用することで、後年度負担を半減させたという話も出ています。山田区長の公約は、「民間の経営感覚の導入」でしたが、この点は、大いに民間に習っていただきたい点です。

 残念ながら、「民間の経営感覚の導入」という公約とは裏腹に、現在の山田区政の経営センスのなさが図らずも明らかになってしまったわけですが、一段進んだ努力を求めています。



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