杉並区議会議員(無所属) 堀部やすし最前線2000 9月A No.66

 区長は選挙公約を守り、「情報公開No.1」を実現せよ! 
現在の見直し案は、公約である「No.1」になってない!


 今回の定例会・一般質問では、昨年からの懸案である情報公開制度の見直し(情報公開条例の改正)について話題に取り上げています。

 かねてより具体的に要望してきた情報公開制度の見直しについては、この夏、庁内の検討委員会の報告が出され、ようやく一定の方向性が示されてきました。今回の見直しは、山田区長が選挙の時には「情報公開No.1」の実現を公約していたことから、時代の流れにあった適切なものになるのではないかと多いに期待していましたが、今回の答弁を聴くかぎり、どうも杉並区の情報公開制度は、No.1にはならない可能性がでてきました。

 しかし、これでは公約違反になりかねません。改めて、区長には、公約を守っていただき、どこに出しても恥ずかしくない「情報公開No.1」にふさわしい水準の改善を図っていただきたいと思っています。私としても、今後何ができるか、検討していきたいと思っています。


 「ドックイヤー」の怖さ 
 
条例を改正し、それが施行される頃には すでに時代遅れに・・・・

 区長提案の改正条例は、来年2〜3月の議会で議案が提出される見通しとなっています。とくに書面だけでなく、電子媒体による情報公開を進めることや、ファクシミリや電子メール等を使った情報公開制度の導入は、なんとしても早期に実現すべきであり、今後も粘り強く、その必要性を訴えていきたいと思っています。これが実現すれば、昼間、会社や学校を休まなくとも、容易に情報を閲覧・入手することができるようになるのです。

 幸い、かねてより要望してきたこれらの点についても、今回の役所内部の検討報告書によれば、「情報化の進展をふまえ・・・それを規則で定めていく」という方針を打ち出すようになりました。ようやく、このテーマも、実現に向けて動き出す段階になったというわけです。

 しかしながら、議会でも、たびたび「ドックイヤー」というお話が話題に出ているのですが、まさに時代はかつての数倍の早さでどんどん進んでおり、行政の対応は遅れるばかりであるのも、現実です。

 たとえば、すでに改正された東京都の情報公開条例(2000年1月施行済)は、杉並区の現在の条例よりは進んだ内容の条例でしたが、施行された今となってみると、(1)電子メールでの請求や公開が明記されておらず、また、(2)電子情報についても、フロッピーディスクでの情報提供は明記されているものの、その他の電子媒体については規定がないという具合で、さっそく時代遅れになっています。時代の流れに対応するために改正される条例が、施行されるころには、すでに時代遅れの内容になっているというのは、皮肉なことです。

 ただ、今回は、区のホームページの活用についても、今回は、現状でも、すぐに実現が可能と思われる範囲で改善提案を行ったのですが、幸い、区の公式ホームページ上で、区への提出書類(転入転出などの届出書や各種申請書)などの配信サービスを行うことが新たに検討されることになりました。これは朗報だと思います。

ホームページを使った「提出書類・配信サービス」の導入を!
 (転入転出などの届出書や各種申請書など)
 これによって、ご家庭にパソコンやプリンターがあれば、直接、役所の窓口に出向く前に書類を打ち出すことができ、自宅や職場で書類の記入を済ませることができるため、かなりのサービスの向上につながります。これは多くの予算も必要としませんので、電子区役所が実現するまでの間は、こうした方法で、ぜひ実務面でも使えるホームページにしていくべきです。

 そのほか、今回も具体的に問題点を詰めていきましたが、今回の答弁を受け、他の自治体の先進事例と対照する形で、杉並の現状をまとめてみました。


 杉並区の情報公開制度 と 情報提供の現状

 先に出された見直し検討会の報告書や、今回の議会答弁を受け、それぞれテーマに沿って杉並区の現状をまとめてみました。いうまでもなく、文責および分析・評価は、堀部やすしによるものですが、事実をもとに評価しており、決して偏見に基づくものではありません。

1.FAXや電子メール等を使った情報公開制度の導入は?
先進例(No,1) 杉並区の現状と見解 No.1か?
・奈良県橿原市で完全実施済(請求も開示も可能)。このほか、大阪府守口市など 条例改正(2001年3月予定)と同時には不可能。実施可能な方法を検討し、条例とは別に「規則」で定める。FAXや電子メールでの請求を受け付けるのはともかく、電子メールでの情報提供は、まだまだ難しいとの答弁に終始している。 ×
2.電子情報(紙に打ち出されていない情報)は公開対象になっているのか?
先進例(No,1) 杉並区の現状と見解 No.1か?
北海道ニセコ町や奈良県橿原市などで実施済 条例改正後は公開対象とする予定はあるが(なお、現在は非公開扱い)、その方法は別途「規則」で定めるとのこと。なお、実施時期はまだ未定。 ×
3.ホームページ上で、区への届出書類をダウンロードすることができるか?
先進例(No,1) 杉並区の現状と見解 No.1か?
神奈川県横須賀市、静岡県袋井市、茨城県牛久市などで実施済。 現状ではできない。区長室や議場のバーチャル・ツアー(区の公式ホームページ内に設置)に80万円もかけている場合か?! これでは話にならない! なお、区も議会での私の質問に対し、その必要性は認めたものの、実施時期は未定としている。 ×
4.区長への直通メールは一般に公開されているか?
先進例(No,1) 杉並区の現状と見解 No.1か?
神奈川県逗子市(市長が独自にホームページを持っている)で実施済 ウェブ上では公開されていない。現在、手紙などで区政に対するご意見をいただいた方へのお返事の際、区長への直通メールがあることを明記しているが、多数にはそれがわかるわけもなく、実質的には非公開に等しい。今後も一般には公開しないつもりのようだ。 ×
5.インターネット利用者の新聞購読率が落ちているので、「電子メール版広報」を発信すべきでは?
先進例(No,1) 杉並区の現状と見解 No.1か?
北海道帯広市、神奈川県横須賀市などで実施済(ホームページの更新情報や観光情報など) 発信するつもりはないとのこと。「広報すぎなみ」は、区の公式ホームページから数十秒でダウンロードできるので、月に3回ぐらいは、ホームページを見ていただきたいとのこと。 ×
6.お役所仕事は遅いといわれるが、情報公開決定するまでの期間は早くなっているのか?
先進例(No,1) 杉並区の現状と見解 No.1か?
小金井市、狛江市などが5日以内に公開決定したことが報道されるなど進歩している  現在は14日以内に決定することが条例に規定されている。区としては、早く決定できるときは、早く決定しているので、14日以内という条例の規定そのものを変えるつもりはないとのこと。
 ただ、私が当選したてのころは、一度請求された前例のある情報であっても、迅速に公開が決定されず、ギリギリまで延々と待たされたり、情報が出てこないといったケースが発生していたが、現在、作業が迅速になったのは間違いなく、これについては正当に評価したい。
7.外郭団体(公社、協議会など)の情報公開制度は整備されているか?
先進例(No,1) 杉並区の現状と見解 No.1か?
福岡県香春町、群馬県太田市などで他と比べて進んだ取り組みがみられる。  現在は全く未整備。今回の見直し検討内容にも、いくつか疑問点がある。
 とくに、自治省は、今年になって、外郭団体のうち土地開発公社については、区の情報公開条例の実施機関に含めてもよいという見解を出したが、今のところ、これを条例の実施機関に含める予定はないとのこと。しかし、これでは「情報公開No.1」公約が泣くというものだ。
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