杉並区議会議員(無所属) 堀部やすし最前線 No.48



議員の野球大会は公務にあらず 
東京高裁判決から考える

 
 ご存じかわかりませんが、議員には、好例の野球大会というものがあります。各地の議員がユニフォームに着替えて野球に興じるだけのイベントですが、これに宿泊費などの主張旅費や日当が支払われていたというので、訴訟沙汰になっている事件があります。そのうち、新潟県議が訴えられていた件で、この4月26日に控訴審判決がでました。

 しかし、どうみても、ただ自分たちが野球を楽しむだけのイベントが公務だと言い張るのは、ヘンな話です。もっとも、新潟県議もヘンなら、新潟地裁はもっとヘン。なんと新潟地裁では、議員の野球大会は「公的な側面も有する」として、原告の請求が棄却されていたのです。

 そんな妙な不信感が高まるなか、今回ようやく東京高裁が、まともな判決を出してくれました。これは、各地の議会にも大きな波紋を投げかけるかと思います。以下、各紙の報道をまとめてみました。

●東京高裁の判断
  野球大会が議会の機能を果たすために合理的な必要性があると認めるのは困難で、議員の野球大会は、レクリエーションの域を出るものではなかったと判断。
  一審判決を取り消し、原告側逆転勝訴。県議に支給された旅費や日当 約255万円の返還を命じる。


●その理由と指摘されている点
  ・国体を盛り上げることと議員が野球をすることとの関連は薄い
  ・国体を国民に浸透させるという野球大会の目的は失われた
  ・選手としての体験がスポーツ振興に役立つ度合は極めて低い
  ・野球大会がスポーツ振興政策に生かされるかどうかは疑問
  ・とくに他の議員との交流や意見交換の機会は設けられていなかった
   (懇親会も新潟県議だけで行われていた)


 ここで裁判になった野球大会とは、毎年国体の開催地で開かれてきた「全国都道府県議会議員硬式野球大会」のこと。国体と一体化することで、いろいろ理由をつけて、公金を支出していたわけです。もちろん、古き良き時代なら、それも仕方ありませんが、官官接待・食糧費疑惑などなど、話題が尽きなかった時代にキッパリ廃止しておくべき大会だったと思います。幸い、財政難もあって、昨年は大会が休止されていますが、これを機会に廃止していただきたいものです。


 これができなければ小粒な議員ばかりになる??
 ところが、笑わせるのが、朝日新聞に掲載されていた、ある新潟県議の話です。この方は、このとき監督を務めた方だそうですが、報道によると、次のような発言をされたようです。

 「芸術鑑賞やスポーツの体験を通して政策論争を交わすのも公務で、これができなければ小粒な議員ばかりになってしまう。私としては上告したいが、弁護士と相談して決める。」(ある新潟県議の話)

 このほか、他紙には議長の話なども掲載されていましたが、この方の発言が、特に非常識にみえましたので、引用させていただきました。どうして、これができなければ小粒な議員になるのか、サッパリわかりませんが・・・たとえば、サラリーマンの方々が行く慰安旅行は、基本的に税制優遇がありますから、それと同じものだと言いたいのかもしれません(現状では議員が慰安旅行をやっても税制優遇はありませんから)。議会を離れて慰安活動をするなかで相互理解も生まれる・・・という一種の「付き合い」の論理なのでしょう。もちろん、相互理解も大事なことですが、多くの有権者が、議会や議員のあり方に対して疑問をもっている(議員の数が多いetc)という現実を考えれば、そろそろ「節度」も考えていくべきではないでしょうか?

 このほか、議員はいわゆるサラリーマンが持っているような保険や財形などでの優遇措置もありませんし、かといって、専業の事業主ほど自由に使えるカネがあるというわけでもありませんから、「これくらい良いではないか」という発想もあるかもしれませんが・・・でも、こんなご時世なのですから、もう、やめるべきだと思います。

 今後はどうなる?

 ところで、議員の野球大会といえば、杉並区議会も他人事ではありませんが・・・今年はどうなるのでしょうか?(なお、去年は休止) 私は1年生議員ですから、これまでのことは知りませんが、聴けば、議会事務局の職員のなかには、わざわざ有給をとらされて球拾い作業をさせられる人もいるとか? 野球をやりたいなら、野球をしたい人だけで勝手に野球をすればいいわけで、こんなことで職員に迷惑をかけることはないと思うのですが・・・ 

 今後、議員の野球大会がどのような形で行われるにしろ、余計な批判を浴びないために、今後は一切廃止したほうがよいと思うのですが、さて、どうでしょうか? 少なくとも議員以外の人間を巻き込むことはやめるべきだと思うのですが。



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