杉並区議会議員(無所属) 堀部やすし最前線 No.44



赤字区債の発行は公約違反だ
新年度予算にモノ申す!



 杉並区においても、2000年度(平成12年度)予算が、先日、原案通り可決しました。私は、区長の理想としてきた区政の方向性には賛同していますが、今後、借金の重みを背負って生きていかなければならない若年世代としては、長期的な展望もないまま、いつまでも赤字区債(減税補てん債)の発行を容認し続けることはできない立場であり、とくに一般会計予算案には賛成することができませんでした。ちなみに、赤字区債の発行などを理由として予算案に反対したのは、私一人だったのですが、こうした状況は、たいへん危機的なことだと思っています。

 まず、予算案に賛成できない理由として、議会で話した意見のうち主なもの(ダイジェスト)は、以下の通りです。

予算案に賛成できない主な理由

堀部がとくに問題とした点


その概要は?


●1.赤字区債の発行は、公約違反である





 山田区長は、選挙の時には、前・本橋区長時代に借金が増えてしまい、このままでは区が倒産するなどと こき下ろしていたにもかかわらず、前区長と同じように限度額近くの借金を繰り返しているのです(2回の合計で30億円強)。要するに、過去に言っていたことと、今やっていることが全然違うわけです。均衡財政論者の山田区長が、これまで政治家として訴えてきた主義主張は、いったいどこに行ってしまったのでしょうか?
●2.行革の優先順位が間違っている




 大赤字を出している区の保養所など宿泊施設をまだ経営し続けていく点など。上位5カ所の宿泊施設に対する区の持ち出し額は年間7〜8億円にも上っています。これは今年発行される赤字区債の約半分にも相当する額ですが、それでも、まだ経営を続けるというのは、あまりに浮世離れしたものです。 育児や介護地獄で苦しんでいる区民がこんなことを知ったら、どう思うでしょう?

●3.中長期的な「財政再建目標」がないまま予算編成を行っている

 財政再建目標をつくるのは「これからの課題」だとの区の発言には思わず閉口してしまいました。最終的に予算に反対することを決めたのは、この一言でした。長期的な展望や目標もなく借金を繰り返し、とりあえず各年度の赤字をしのげばそれでよいという方針は、もうやめるべきです。
●4.「聖域なき財政再建」を訴えながら、聖域(例外)がある



 例外なく歳出をカットするといいながら、「区の支出20%削減」や「企業会計システム(=今後は国際会計基準)の導入」といった区長自身の公約には、自ら例外事項を設けてしまっています。外には「聖域なく」と言っておきながら、自ら率先して聖域を作っていたのでは、他に示しがつかないのではないでしょうか?

 予算案は、とりあえず、ハコモノ建設を見合わせた点(杉並公会堂や複合施設の建設先送り)や、新規産業の育成や環境対策を重視した点(ゴミのさらなる分別や各種調査の実施)では、評価することができます。しかし、総体としてみたときに、財政再建への姿勢がかけ声倒れになっている点(結局、赤字区債を発行してしまった点)は問題です。利用率の低い施設は廃止し、区有財産を売却するなど、根本からの建て直しが早急に必要です(今年度は、売却には至らず、貸与・駐車場化に止まっています)。また、ワークシェアリングを進め、時短や人件費比率を下げることも考えていくべきでしょう(区の人件費比率はすでに3割を超えているのです。もう聖域にできる時代は終わりました)。こうした長期的な見通しが明確になっていれば、展望もあるというものですが・・・
 
 とりあえず借金をして年度内さえしのげば・・・という従来型の予算編成では、真の財政再建は程遠いのです。区は「緊急に迫られた現在の行政需要もあり・・・」と言っていますが、だからといって、借金を重ねて子や孫の世代の行政需要(未来の行政サービス)を犠牲にされるのは、たまったものではありません。こんなことが、いつまでも続けられては困りますので、今後も議会で強く改善を求めていきます(不幸中の幸いというか、今年は、ごくわずかではありますが赤字区債の発行を限度額(17億6800万円)より圧縮し、15億円とすることにはなりました。今後も発言を続け、繰り返し要望を行っていきたいと思います)。

 (話題1) 大赤字の宿泊施設をまだ経営し続ける杉並区

 「民間の経営感覚を導入する」といいながら、区はいまもって、民間では考えられない優先順位を間違えた経営を続けています。たとえば、区は、本来、行政が行う必要の全くない豪華な保養所など8つの宿泊施設を未だに経営し続けています。

 もちろん、こうした保養所を利用している区民は、50万区民からみれば、ごくごく一部の区民に過ぎません。これは区長の主張する「経営感覚」という視点からみても、本来、行政が行う必要は全くない仕事であって、真っ先に削減対象とするべき部分なのです。経営の才のない杉並区がわざわざ宿泊施設を営業しなくとも、最近では民間でも安くてサービスの良い宿泊施設はたくさんあるのです。

 しかも、区の保有している宿泊施設のうちの上位5カ所をみると、ここ数年7〜8億円のもの大きな経営赤字を出し続けていますが、それが大きく改善される兆しは、全くありません。ちなみに、今年度発行する赤字区債(減税補てん債)は、後にも触れますが、15億円です(昨年もほぼ同額発行済み)。お気づきのように、発行された赤字区債の約半分相当額が、不用不急の宿泊施設に持ち出されていると言ってもいいような状態は、どうみても異常です!

 かたや日常的にニーズが高い事業、とくに福祉施策に対してですら、大胆にメスをいれ、生活水準が低下している方がいらっしゃるわけですから、区民が毎日使っているわけでもない大赤字の宿泊施設を廃止しないのは、全く説明がつかないものです(この2月にようやく検討対象にはなりましたが)。多額の赤字区債を発行してまで、このような施設を今年も維持しようというのは、民間と比べてあまりにも浮世離れしているといえないでしょうか?

 (話題2) 新規に15億円の赤字区債発行へ

 かねてより山田区長は、均衡財政論者で知られ、国会議員時代には、議員立法という形で財政均衡法案(赤字債の発行を禁止することを盛り込んだ法案)をとりまとめられています。前回の衆院選でも、こうした政治的主張を胸をはって訴えられていました。私も、財政再建は、最優先課題であると考えており、こうした政策には賛同する者です。

 ところで、財政再建とは、財政の自由度を確保することですから、基本的には借金をしないこと(赤字債を発行しないこと)が、必要不可欠です。何度も指摘するように、日本の公的債務は600兆円(国民一人あたり500万円)を超えており、かりにもう一度バブル景気を起こしたとしても、そうそうこれは返済できる金額ではありません。その意味では、厳しく歳出を抑えようという財政均衡法案は、実に素晴らしい法案であり、こうした政治的主張をもった山田区長が杉並区に誕生したことは、本当にうれしいことでした。

 ところが、山田区長は、実際に区長となってみると、前任者同様に赤字区債を2年連続で発行し続けています。しかも、それは決して少額ではないのです。それでは、これまで政治家として訴えてきた主義主張は、いったい何だったのでしょうか? そもそも、実現できないことを訴えてきたということなのでしょうか? 実現できるというなら、総責任者として、今後の財政展望をきちんと示すべきです。政治家が主義主張をクルクル変えるのは別に珍しいことではないかもしれませんが、たった1年で、これほどまで考え方を変えてしまうのなら、納得のいく合理的な理屈で説明をすべきなのです。そして、本来、優秀な山田区長なのですから、それができないはずはないのです。

 このまま借金を積み重ねていくのは、若年世代の夢と希望を奪うものです。財政再建と口で言いながらも、同時に長期展望もなく赤字区債を発行しつづける以上、若年世代の一人として、予算案に賛成することはできませんでした。

(話題3) 財政再建目標がない?! そんなことでいいのか?

 さらに、予算審議(3月の予算特別委員会)のなかでは、実は杉並区には明確な財政再建目標はなく、それはこれからの課題となっているというお話が、企画部長より説明されました。つまり、区はこれまで明確な目標もなく、財政再建という言葉だけを使ってきたわけです。これでわかりました。この程度の認識しかないからこそ、赤字区債を出しても平然としていられるわけなのですね。子どもや孫の将来を真剣に考えてくれる人は、まだまだ超少数派のようです・・・

 しかし、厳しい財政状況のなかで財政再建しなければならないというのに、明確な目標もなく達成できるわけがありません。ただ年度内さえしのげば、それで良しという予算編成を続けていては、いつまでたっても財政事情は好転しません。


(話題4) 初めて明かされた「区の支出の20%削減」公約の逃げ道

 まず、山田区長は、昨年の選挙において、4年間で区の支出の20%を削減すると公約されていました。しかし、前途は多難です。新年度は、新しく介護保険もスタートしますし、清掃事業なども区に移管されてくるわけで、区への行政需要は増加こそすれ減少することはないからです。このようななか、いったいどのような根拠で20%を削減していくと公約し、今後どのようにそれを進めていかれるのか、たいへん興味を持っていたところでした。

 そこで、私は、これについて本会議で質問してみました。山田区長によれば、20%の削減と言ったのは、それくらいの覚悟で取り組む必要があるということを示したものであって、とくに積み上げて算定した数値ではないというのです。要するに、区長選挙では20%削減を公約したけれども、それは覚悟と姿勢を表すもので、具体的な指標ではなかったというわけです。清掃事業などを除けば、かなり歳出削減が進んでいると区は力説していましたが、都からの移管事業や新規事業をも折り込んで総体として支出の20%削減を実行してもらわなければ、真の行革(お役所仕事の改善)にはなりません。

 また、この20%削減という数値についても、実は区の総支出の20%という意味ではなかったことが私の行った質問で明らかになりました。企業会計システムでは、今後、国際会計基準が導入され、連結決算がとられていきますが、区はいろいろと例外を設け、総支出単位ではものを考えていかないそうです。これでは、恣意的な「都合のいいとこ取り」であって、公約は古い言葉で言えば「羊頭狗肉」、新しい言葉で言えば「なんちゃって公約」というものです。本当に必要なところに財源をつけたいのならば、隙を見せずに一貫した厳しい姿勢で財政再建に取り組むべきです。

 民間企業では健康保険財政が厳しくなる見通しがあると言うだけで、早々に保養所を廃止するようなところも出ています。本業ではうまくいっているトヨタ等でもそうなのですから、本体(一般会計)ですら厳しい杉並区は、当然これを見習うべきです。それが「民間の経営感覚」というものです。すでに、杉並区は「民間の経営感覚を導入する」と繰り返し言っており、新年度が始まっても、私もその感覚を念頭において行革の動きをチェックしていきたいと思います。





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