杉並区議会議員(無所属) 堀部やすし最前線 No.41


なぜだ!まるで議論しない議会運営委員
区議会情報公開条例が成立 残された課題は?

 
 2月28日。杉並区議会の情報公開制度について、新たに条例が成立しました。

 とにかく、時代錯誤の内容。他と比べて進歩的だった杉並区議会で、どうして、こんな条例案しか出てこないのか、本当に恥ずかしいことだと思っています。そこで、私は、本会議の場において、主な問題点を整理するために、あえて質問に立って問題点を指摘するほか、早期に時代の流れに対応した改正が必要なことを多数会派のみなさん方にお願いしました。

 まったく議論しなかったのは、なぜ?

 通常、議案は、各委員会で審議された後、議員全員が参加する本会議に回され、採決がとられます。この議案についても、議会運営委員会という委員会を経て、本会議にかけられました。

 しかし、驚いたことに、この問題を取り扱う議会運営委員会では、委員による討論や意見表明が、いっさい行われなかったのです。重要度の低い問題ならわかります。しかし、情報公開条例は、きわめて重要度の高い条例で、新聞などでも報道される機会の高い条例なのです。

 委員会の場では、みな一様にダンマリを決め込み、ただ全員「異議なし」でアッという間に採決がとられてしまいました。これでは、何のために議会運営委員会が存在しているのやら、まったく理解できないというものです。私は、内容に不満足ながらも、早期に前向きな改正の必要性を訴えたうえで、いちおう賛成するつもりがあったものの、こんな大事な条例が、議論もなしに制定されるのは、議会の恥になると思っていました。かろうじて、この委員会の委員ではない2人会派の議員が特別に申し出て質疑を行ったり、私ほか無所属の一人会派の議員が本会議で質疑に立ち、いちおう議会の体をなしたのは、不幸中の幸いでした。

  この委員会に所属する委員のみなさんは、議会運営について話し合うために、特別に選ばれた人たちなのです(なお、一人会派の人間は、委員になれません)。なのに、その委員が何にも話し合いをしないのは、いったい、どういうことなんでしょうか?

 こんな議会運営委員会なら、いらない。

 議会は、その名のごとく、議論をする場のはずです。だいたい人間の行うことに、完璧なことはあり得ません。だからこそ、疑問や矛盾・想定される問題点を広く明らかにし、それを今後に活かすためにも、質疑や議論・意見表明などを行うことは重要なのです。この条例は、区民への情報提供・公開のあり方を定めた特に重要な条例なのですから、きちんと公開された場で議論することが必要だったはずです。ところが、今回の条例制定にあたっては、それが公開の場で行われることなく、基本的にそれが陰でコソコソ行われてきたわけなのです。

 本来、議会運営のあり方を議論する「議会運営委員会」の役割は大きいと思うのですが、今のように、その存在価値を自ら否定するかのようなことが起こるのは、実に困ったものです。この委員会がまともに機能していないのは、この問題をみても一目瞭然なのですが、しかし、この委員会は、わざわざ予算を組んで独自の視察旅行まで行っているなど費用もかけている委員会です。委員会の開催費用や視察の経費だって、毎年バカになりません。これを考えれば、もっと公の場できちんと議論してもらわなければ困ります。自分たちの属している議会のルールを決める大事な委員会のはずなのですが・・・

 それにしても、どうして、こんなことになったのでしょうか? 日ごろ情報公開や市民参加が大事だと主張している方々までが、こぞってダンマリを決め込んでいるのは、どーしても合点がいきません。ただ黙って賛成しているだけなら、問題点がないと言っているのと同じことでしょう? 本当に問題がないと思っているのでしょうか?
 
 議員提案

 さて、ここで、私が行った本会議での質疑と答弁を通して、わかったことを整理してみましょう。

@この条例案については、誰も公式の場で議論や意見表明をしなかったので、各政党や会派の考え方・温度差が、全くわからなかった。

  この条例案は、議会運営委員会の構成メンバー全員=交渉会派6会派(自民・公明・民主・共産・杉並フロンティア・生活者ネットワーク)の議員によって提出されたものですが、こうした多数会派の人々は公式の場で誰も意見を言わなかったので、誰が何を考えているのか全くわかりませんでした。

  そこで、この点について質問してみました。返ってきた答弁から判断すると、これら交渉会派の全員が、この条例案に満足しているということのようです。こんな時代遅れの内容で、みんな満足しているとは信じられないことですが、誰からも異議がでなかったので、そう受け取るしかありません。それにしても、本当は不満のある人だっていたんじゃないでしょうか?なんで、黙ってるんでしょうね。

A議員が提案した条例であるにもかかわらず、委員会の場で、区の職員が説明員となって答弁していたのはヘンだ

  そんなわけで、委員会の場では、この委員会の委員ではない議員が、特例で質問に立つという異例のことになったわけなのですが、なんとその答弁は、区の職員が行いました。本来、質問に対する答弁や説明は、条例の提案者が行うものですが、それとは全く無関係である区の職員が説明するに立つというのは、あまりにもヘンなことでした。

  さて、この質問によってわかったことは、どうやら、この条例案は、議員提案というものの、その叩き台は、区の職員が用意したそうなのです。官僚主導の政治が批判されて久しいですが、区議会も職員の力で運営されている、ということなのでしょう・・・

B議会運営委員会の委員の間で全く議論がないのはヘン

  内々に検討協議会を開いて煮詰めており、あえて議会運営委員会で議論する必要はなかったんだそうです。しかし、記録が残らない場で議論されても、一般区民の目には、どんな議論があったのかわからないわけで・・・これでは議会はいったい何のために存在しているというのでしょう?

  改正の必要性

 情報公開を進めることは、区民要望のきわめて強いものの一つであり、それを規定する条例といえば、きわめて重要度の高い条例なのです。そんな重要度の高い条例が、何の議論もなく、制定されて良いわけがありません。

 実は、区議会は、これまで情報公開制度の対象外の扱いでした。もちろん、これに準じた要綱によって、情報公開が進められていましたが、やはり不十分さは免れませんでした。条例すらないというのは困りものですので、不十分な内容ながらも条例制定には、いちおう賛成しましたが、早期にぜひ改正作業が必要だと考えています。

 ちなみに、来年度中には杉並区でも、区の情報公開条例の改正が予定されています。私の質問に対して、自民党会派の幹事長さんからは、現行の区長部局の情報公開条例とあまりに開いた条例ではいけないとの配慮が語られ、改正は区の条例が改正されるときに同時に検討していけばよいとの判断が語られましたので、まずは区の条例改正の動きに注目していきたいと思っています。

  残された課題

 なお、残された主な課題には、次のようなものがあります。
@パソコン内部のハードディスク等に収容された情報など、いわゆる電子情報・電磁的記録を公開対象に含めること。また、フロッピーディスクなど電子媒体で、コピー(情報の写し)を交付することができるようにすること
 
 今は紙に打ち出されたものだけが公開対象です。杉並中継所環境調査の件でも指摘したように、電子情報を開示してもらわないと困る場合が今後出てこないとも限りません。また、なにより大量の情報請求の場合には、いたずらに紙を浪費するよりも、フロッピーディスク等での情報提供のほうが、安価で環境にもやさしく、簡便なはずなのです。いくつかの先進自治体をはじめ、昨年成立した国の情報公開法や東京都の情報公開条例ですら、この点で既に対応が進められているのです。

A救済の手続を改善し、不服申立を審議する中立的な第3者機関を設置すること。それが無理なら、区の情報公開条例に規定された「情報公開・個人保護審議会」で審議するようにすること。

 情報が公開されないといった場合、法律に基づいて異議申立等をすることができます。この申立については、新たに設置される「情報公開推進委員会」の意見を聞いて、議長がその可否を判断することになっています。

 ところが、この委員会の委員は議員のみとなっており、いわゆる第3者は委員になれません。しかし、公平公正な審査を行うには、利害関係のない中立的な第3者が審査を行うことが必要ではないでしょうか? この点は、情報公開制度が明確になっている議会では当然の配慮であり、杉並区議会のような対応になっているのは、東京都議会など、ごく一部です。
 
B恣意的な運用をすることのないよう「公開しないことができる情報」の範囲を限定すること

 たとえば、いまの条例では、「公にすることで率直な意見の交換ができなくなる」と議長が判断した情報は、容易に非公開にできてしまいます。このような曖昧な規定では、なんでも理屈さえつければ非公開にすることができてしまい、将来的に情報公開制度が骨抜きになってしまう可能性がないともいえません。

 しかし、議会が保有している情報は、本来、公開を前提とされて収集されたものばかりであって(なぜなら、地方自治法第115条によって、議会には「会議公開の原則」があるからです)、このような規定は馴染まないものです(もちろん、純粋に個人のプライバシーに関わる事項や私生活に関する情報を非公開とすべきなのはいうまでもありませんが)。



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