杉並区議会議員(無所属) 堀部やすし最前線 No.26
「介護保険」 やっぱり要介護認定の現状は メチャクチャ?!

 今回の本会議・一般質問で私は、これまで繰り返し区議会で取り上げてきた「西暦2000年問題」について最後のお願い(?)をするとともに、公的介護保険制度について取り上げました。介護保険については、先月より要介護認定が始まっています。そして、ちょうど、いま、続々とその結果が報告されてきていることもあり(申請から30日以内に結果を通知することになっています)、タイムリーな話題として、介護保険の仕組みのうち、とくに「要介護認定の現状」を問い質しました。


 きっと、あなたもハマる「あみだくじソフト」の間違い探し!


 公的介護保険制度は、来年4月からスタートします。40歳以上のみなさんは、原則として全員強制的に保険料が徴収されてしまいますが(ここにきて選挙対策なのか、最初の半年は保険料を徴収しないそうですが)、すべての方が保険適用になるというわけではありません。ここが医療保険と大きく異なる点なのですが、その人に介護が必要かどうか判断する「要介護認定」を受けなければ、そもそも介護サービスが受けられないのです(原則65歳以上)。要介護認定は、大きくわけて、コンピュータによる1次判定と、その結果に基づき専門家が最終的な判定を下す2次判定によって判断されます(2次判定に申請者が出頭することは禁止されていませんが、今のところ、その前例はなく、実際には書類審査のみで決められてしまいます)。

 ところが、修正されたと言われていたこのコンピュータ・ソフト(1次判定)の精度が悪すぎて、お話にならないのです(このあたりは、データの取り方などにも問題があり、議会でも具体例を挙げて指摘したところです)。

 厚生省は、このソフトを修正・改善したといっていましたが、それでも誰にでも分かるような矛盾したデータがゴロゴロ出てきています。少々話題が専門的になってしまいますので、ここでは詳細を割愛しますが、ここまで矛盾が多いと、怒りを通り越して、むしろ見ているのが楽しくなってくることもあり(スミマセン不謹慎でした!!)、詳しくお知りになりたい方は、ご一報ください。詳しく見ていただければ、痴呆の激しい方なのに、要介護度1とか2と判定されてしまう・・・というようなメチャクチャな判定が出てしまう実態もお判りいただけることでしょう(もちろん、すべての事例が、そうなるというわけではありません。そのような事例が少なからず存在しているという意味です)。

 ちなみに、この1次判定ソフトは、「あみだくじ」のような使い方をするため、別名「あみだくじソフト」とも呼ばれています(なんでも厚生省の担当次長が最初に使った言葉だそうですが、本当のところはどうなんでしょう?)。でも、今では、それが転用されて「当たるも八卦、当たらぬも八卦」という意味で使われるようになってしまいました(笑)。いやいや、笑ってる場合じゃないですよ。たいへんなことです。



 公平公正な要介護認定を行うために 

 
 そこで、公平公正な要介護認定を行うためには、@実際に最終判定を出す区の介護認定審査会が明確な審査基準をハッキリさせ、A一定のガイドラインをつくり、B「判例集」をつくり、これを公開していくことが重要だと思うわけです。さらに、C判定することが難しい場合は、現場に「再調査」を求め、安易に結論を出すことは差し控えるべきだと思うのです。

 ところが、杉並区は、私のこの提案に対し、1次判定ソフトについて「原案としては信頼できるものと判断」「概ね納得できる結果が得られている」と答弁しており、1次判定にあまり矛盾を感じていないようなのです。その結果、杉並区で実施された要介護認定の9割は、1次判定がそのまま適用されていますし、判定不能で「再調査」となった件数も、全体のたった0.5%にとどまっています(10月末現在)。

 それにしても、「再調査」がわずか0.5%というのは、驚くべきことです。「元気だが痴呆がある場合」や「まだらボケ」に対する審査の難しさは、以前から指摘されており(国会でも、この点に留意するようにという附帯決議がなされている)、一度や二度の調査・審査で、これを判断することは難しいと言われてきたところなのですが・・・1次判定と2次判定で認定が変更になったケースが、全体の4割近くに及んだことがあるという北海道の空知中部広域連合の例は大げさとしても・・・1次判定ソフトのメチャクチャぶりを見ていると、杉並区の2次判定の審査状況を詳細に調査する必要性を感じています。


 2次判定は公正か?


 ちなみに、判定は、介護がどのくらい必要なのかという観点で、6段階に分けられています(要支援,要介護1,2,3,4,5の6段階。最重度は要介護度5。なお、介護の必要がない場合は、自立という結果が出てきます)。

 コンピュータによる1次判定の後に、2次判定が行われるわけですが、ここでは出てきた診断データをもとに、介護者の実態を把握する作業が行われます。ここでの主な作業は、厚生省の提示してきた60種類の「状態像の例」のなかから、申請者に最も近いものを選ぶというものです(もっとも、2次判定は一件あたり平均3〜5分で審査するのですから、実際、正確に審査を行っているかどうかはアヤシイものですが)。なお、それぞれの「状態像の例」には、要介護度が決められており、申請者に最も近いということで選ばれた「状態像の例」が、要介護度1の例であれば、最終的に要介護度は1と判定されることになります。

 ところが、この「状態像の例」も、実際にはかなりの矛盾があります。申請者に最も近い「状態像の例」を選ぼうにも、選びようがない場合があるのです。そもそも高齢者の状態は症状によって千差万別で、それを無理にどれかの例に当てはめようという作業は、実に難しい作業なわけで・・・とくに、痴呆の高齢者の場合、どう考えても、合うものないという事態に陥っているはずなのです。

少し専門的な話になりますが、「状態像の例」と照合しようにも、たとえば、意志疎通や問題行動に関する中間評価項目である6群・7群が中心的に落ち込んでいるようなチャート例は全く存在せず、痴呆症の場合、近似した「状態像の例」を探しだすことに無理が生じるのです。

 議会では、この点も指摘してみたのですが、書類の記載等に不備がなければ、とにかく、どれかに適合させているようで、それが「再調査」の少なさにもつながっているようです。私としては、@適合する状態像がない場合( or 適合するものを選ぶのに苦労する場合)や、A調査員が記入した「特記事項」や「主治医の意見書」と1次判定が大きく異なる場合などは、原則として「再調査」と判断していくべきではないかと思うのですが・・・区は、十分な研修をしており、「今までのところ、判断に息詰まるようなケースはございません」とのお話が返ってきました。本当にそうならば心配ないのですが、一件あたりわずか3〜5分で審査しなければならない現状では、十分な審査ができているとも思えず、その答弁の信憑性は疑わしいものです。


 もし、苦情が殺到したら・・・


 昨日(11月13日)付の読売新聞でも、世田谷区での要介護認定の実態(一次判定の矛盾に直面している実態)が報道されていました。そのなかで、読売新聞は、世田谷区介護認定審査会の座長の一人・亀井真一郎医師の話を引用しつつ、「当面の課題は、統一した二次判定の基準作り」と主張しています。杉並では、私が今回の一般質問で、これを求めたわけですが、区の答弁は、非常に曖昧なものに終始してしまいました。答弁した部長の現場認識が足りないのか、それとも微妙な問題のため答えに窮しているのか、今ひとつ判断に苦しみますが、近く担当課から改めて話を聴きたいと思っています。

 さて、こんな具合ですから、今後、高齢者の実態に合わない判定が続々と出てくるなかで、多くの方から不平不満が寄せられる可能性は否定できないと思います。実際に一足早く公的介護保険制度を導入したドイツでもそうでした。もし、ドイツ並みの不服申立が出てくるとすると、今の行政の体制ではとても対応できないのではないかと思います。早急に介護保険版の公平中立的なオンブズマン(福祉オンブズマン)を区市町村レベルで設置することが必要だと改めて確信しているところです。

 もちろん、行政の一般事務については、議員や監査委員が監視役を果たして行くべきことなのですが、こと医療福祉行政については、医療福祉分野における専門的知識・経験をもった第3者によるチェック・システムが不可欠です。とくに、介護保険は、あくまで「保険」であって、「お上による施し」という措置制度ではなくなってしまうのですから・・・



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